Memories of CGf
#10 「メイファ」
メイファの文句がずっと続いている。
やれ「あんたはボサッとしすぎてる」だの
「いつまでこんなくらい道を歩かされなきゃいけないのかしら」
だの文句というよりも八つ当たりに近い。
ただメイファが言うほど地下道は暗くはなく
所々ぼんやりと明るくなっていて歩くのには困らない。
それはメイファも分かっていて、その上で文句を言っているのだ。
ようはただ文句を言って気を紛らわせたいだけで
黙って聞いていれば本人も気が済むのだから
イハも僕も聞き流している。
メイファ「まったく、暗くてジメジメしてやんなっちゃうわ! 出てくるのもクモばっかりだし。だいたいクモって何よ! うっとおしいったらありゃしない」
まあ、気分は分かる。
アベル「いつまで言ってんだ。そんなにイライラするならイライラに聞く薬でも作ってやろうか」
メイファ「うっさいわね! だいたいあんたがこんな依頼受けるって言うからこんな目にあってるんでしょうが!!
そうはいっても何も起こらないのは確かにつらい。
地下道は思ったよりも広かった。
さっきからひたすら薄暗い中を歩き回っているせいか少し疲れていた。
出てくるのは相変わらずクモばかりでいい加減嫌になってもいる。
やつら大して強くはないけれど、足元から突然現れるので気が休まらないのだ。
まだそう長い時間歩き回っているわけではないだろうが、
こう落ち着かない気分が続けばイライラしてくるだろう。
メイファはそういった僕等の気持ちを代弁するかのように
ブツブツと僕に八つ当たりを続けている。
メイファがイライラを全部吐き出してくれるぶん僕は落ちついていられた。
そこに悪意がないのが分かっているから僕等は何も言わないのだが
誠に遺憾なことにメイファ自身はそのことはわかっていないようだ。
本当に残念な話である。
イハ「むこうになにかいるわ」
彼女が指差した先は周囲よりも明るくなっている。
その明かりの中に、確かに何かがいるのが見える。
アベル「何だ、あれ?!」
--近づいてみると、そこにはいったいの石造が浮かんでいた。
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ