Memories of CGf
#11 「そういう風にできている」
それは石像ではなかった。
大きな翼の赤い悪魔をかたどった像に見えたそいつは
僕等が近づくとギギギッと動きだし、こちらを一瞥する。
そして翼をばさりと広げると軋むような声で話しかけてきた。
「ほう、宝を求めてやってきたものか……
俺は鍵番のアンドリューだ。
この先に進みたければ、俺を倒していくがいい」
アベル「なんてお約束なそのセリフ!」
アンドリュー「そういう風にできているのでな。ひとつの様式美というやつだ。ではいくぞ!」
アンドリューが一声吼えると、あたりはぴいんと静まりかえった。
その一瞬後、足元の無数の骸がムクムクと起き上がった。
咆哮に応えるようにのそりのそりと向かってくる。
イハ「……やるしかなさそうね……一気に片付けるからフォローをお願い」
そういうとイハは目をとじて念じ始める
イハ「おいで、ガッデス! アベルたちのサポートをっ」
その声に応えて空間がふるえる
光が集約して、そこから灼けた岩でできたゴーレムが現れる。
使い魔のボルケノゴーレムだ。
ガッデスはゆっくりと腕を振り上げ、イハの前にたつ。
それを見届けるまもなくイハは詠唱を始める。
アベル「ええい、ままよ!」
僕は叫び、自分の使い魔のヒスイを呼ぶ。
イハのゴーレムとは対照的な青いゴーレムが現れる
アベル「こっちも一気にいくぞ! メイファ撹乱頼むっ!」
メイファ「何でいつもこんな役回りなのよー!!」
アベル「それはあれだ」
僕は一瞬考え込む
アベル「そういう風にできている」
メイファ「それ絶対使い方ちがううううううっ!」
わめきながら弓を乱射する。やけくそだ。あれは。
矢を放ちながらメイファも使い魔を召喚する。
彼女の使い魔は白い四つ足の獣,ガルムである。
アベル「今日はタケル(牛)はどうした」
メイファ「大人の事情!」
メイファの使い魔のガルムが機敏な動きで敵の中に突っ込んでいく。
僕は狙いをアンドリューに絞り、集めた元素の力を放つ。
アベル「アイスフロストォ!!」
アンドリューの足元から氷柱が突き上がる。
しかしひるまない。
アベル「チッ、しぶとい!」
チラリと後ろを見る。群がる屍をガッデスが食い止めている。
メイファの矢が一匹、二匹と敵を倒していくが、
まだ、詠唱は完成していない。
メイファ「アベルっ!」
メイファの声とともに頭上から石つぶてが降り注ぐ。
油断した。でも、まだ戦える。
杖を握りしめ、奴めがけて突っ込む。
渾身の一撃を叩き込んだその時、イハの詠唱が完成した。
イハ「みんなはなれて!
インフェルノッッ!!」
爆炎があたりを焦がす。
立ちこめた煙がはれると、アンドリューが崩れ落ちるのが見えた。
* * *
アンドリュー「見事だ。たいした力だ。約束どおりお前たちにこの鍵をやろう」
アベル「どこまでも約束に忠実なやつだな」
アンドリュー「そういう風にできているからな。
さあ、早くいけ。鍵はすぐに使えなくなるぞ」
そう言い残してアンドリューは消えた。
その跡に魔法装置が現れる。どうやら転移装置らしい。
アベル「さて、参りますか」
転移装置が動きだし、一瞬で僕等は別の空間に飛ばされた-
謎の男「ここから先は通さんッ!!」
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ