Memories of CGf
#2 「トカマク」
ゲイツ氏の話によると、
今この世界は大災厄が迫っているのだという。
魔物の大量発生、自然環境の変化・・・
百数十年前におこった大災厄と同じことが起こりつつある。
かつての大災厄は5人の勇者の手で鎮められた。
たが今はすでにその勇者もない。
そして、その災厄がどのようにして鎮められたかも
ほとんど記録がないのだ。
今この世界は破滅に向かって歩き出している。
迫り来る大災厄から逃れるために
新たな勇者を異世界から召還しているのだ。
--かつての勇者たちがそうであったように。
ゲイツは言う
そなたが勇者かどうか、試させてもらいたい。
そういうと、傍に控えていたアーメイが不機嫌な顔で装備を寄越す。
そういえば何も着てないじゃないか
なんてこった!
ひったくるように装備を受け取る。
アベル「こっち見ないでください」
アーメイ「何を女々しいことを言っておる。男の着替えなんぞ興味ないわ」
伐るだけなので、あっちを見るもないのだが、なんだか気恥ずかしかった。
まさに丸腰で目の前の紳士とどつき合いをしていたのか。
アーメイ「何を笑っておる」
アベル「べつに」
ゲイツ「この先は5勇者の伝承を記した回廊になっておる。
そなたにはこの回廊を渡って、王のところへいってもらいたい」
アベル「試験って、それだけですか」
ゲイツ「そうだ。だか城を守る魔物たちが、回廊をうろついておる。心してかかられよ」
アベル「心してって、そんな無茶苦茶な」
アーメイ「泣き言はあとで聞く。死ぬことはない、ワシが保証する」
アベル「どつきまわされたくせによく言う」
アーメイ「ほう、では次は手加減はせぬぞ」
目が笑ってないぞ、じいさん
アベル「わかりました、いきますいきます」
アーメイとゲイツ氏に睨まれながら、試練の回廊に向かうことにする。
薄暗い廊下に、僕の足音がひどく大きく響き渡る。
(勇者じゃなかったら元の世界に帰れるだろうか・・・)
ずっと考えていたが、聞くのが怖くて聞けなかった。
まさかいくらなんでもそれはないだろ。
そんな考えを振り払うようにして顔を上げると、
そこには人影が--
「あなたも、勇者候補として召還ばれた方ですか?」
澄んだ女の声
トカマク「私、トカマクといいます」
そこには亜麻色の髪をした少女が一人、不安げに立っていた。
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ