Memories of CGf
#4 「トカマクの護衛」
トカマク「はあっ、はあっ、もう無理です!
勇者なんて、できるわけないですよ!!」
荒い息をついてトカマクは言う。
螺旋状の回廊を登りはじめて半刻ほど
半分ほどまできただろうか。
ここまでくるのに、もう何度も敵に襲われた。
どれも剣を振るえばすぐに追い払えるのはいいのだけど
数で来るので厄介な連中だった。
僕とトカマクの緊張と疲労は限界がこようとしていた。
あれこれ考えまい、と決めたものの
見慣れぬ世界で何がどうなっているかわからないまま戦うのは楽なことではない。
ゲイツ卿は「死ぬことはない」といっていたが
それもあやしいもんだな、と思う。
このまま無事に抜けられたら御の字だろう。
トカマクの不安もうなずける。
ただ、言っておくがトカマクは無力ではない。
華奢で頼りなげに見えるが、むしろ強い魔力を秘めているようだ。
魔法で敵をなぎ倒し、怪我をすれば癒してくれる。
ただトカマクは、その力を使うことを嫌がっているように見える。
それがなぜかまではわからない。
待ち構えていた兵士を退けると
階段の踊り場に差しかかった。
アベル「敵の気配はなさそうだ。この辺りで休憩していこう」
トカマクはうなずく。
緊張した顔に、一瞬だけほっとした表情が浮かんだ。
トカマク「あの壁画--」
そういって彼女が指差した先には、一人の人物をかたどったレリーフがある。
ここまでにも、何枚か同じ構図のレリーフがあった。これは4枚目だ。
レリーフの上部には黄色い宝石が埋め込まれている。
描かれた人物は、森の中で斧を携えている。おそらくきこりなのだろう。
トカマク「このひとも五勇者の一人ですね」
確かゲイツ卿が言っていた。
かつての大災厄は異世界から呼ばれた五人の勇者によって封じられたのだったか。
五勇者はそれぞれ、赤、青、緑、黄、桃の勇者と呼ばれたらしい。
と言うことは、これは黄色の勇者か。
トカマク「これは五勇者のうちのカレー担当さん」
この子時々、素でぶっ飛んだこと言うんだよな。
アベル「よし、いこう」
トカマク「はい」
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ