Memories of CGf
#5 「シャマラン・ザ・ピンク」
上から差す光が次第に明るくなってきている。
この回廊は城につながっているということだから、
ゴールが近いということだろう。
トカマクは最後のレリーフに見入っている。
おそらくシャマラン・ザ・ピンク、桃勇者だろう。
そこには彼女と同じくらいの年恰好の少女が描かれていた。
瞳に優しい光をたたえ、口元には柔らかい笑みが浮かんでいる。
勇者シャマランはやさしき癒し手。
あたたかき光で仲間の傷を癒していったという。
その言い伝えの通り、光に包まれた少女の像は慈愛に満ちている。
トカマク「こんな私と同じくらいの女の子も勇者だったなんて……なんだか複雑な気分がします」
それはそうかもしれない。
シャマランはまだ、14,5歳といったところだろう。
まだあどけなさの残る顔をしている。
こんな少女が勇者として大災厄に立ち向かったとは、
僕だってとても信じられない。
しかも彼女は、異世界に呼ばれた異邦人なのだ。
戸惑いはなかったのだろうか。
像は黙して語らない。
トカマク「……私はこんな風になれるんでしょうか」
アベル「えっ?」
僕は驚いた。
彼女が勇者にならなくてはならないと思っていることに。
勇者として呼ばれたから?
果たしてそうなのだろうか。
僕にはそう思うことはできない。
僕にはそれを受け入れることはまだできないような気がした。
-その時
「よくぞここまで来た勇者候補ッ!!」
僕らの感傷を断ち切るように、大音声が響く。
回廊の出口で、アーメイが仁王立ちになってこちらを見下ろしていた。
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ