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イハティーサ
イハティーサ
novelistID. 8424
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Memories of CGf

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#7 「おいでよ、ハナアルキの森」




アベル「だーーーーーっ!! 何でこんなにいりくんでんだここは!
    ちっとも先に勧めないじゃないか!」

うっそうと生い茂る森の奥で僕は迷子になりかけていた。
ここまで来ると遭難だ。

日暮れまでに間に合うだろうか・・・・。


いきなり城から放り出されて、かれこれ3か月がたつ。
リセリア城下には多くの冒険者がいる。
召喚されて帰れなくなった勇者候補たちも少なくない。

僕は今、王立病院の薬剤師見習いとして働いている。
見習いの仕事は単調だ。ひたすら薬を作る。これだけだ

薬剤師は初歩の元素魔法を学ぶことが許されているので
この世界を成り立たせている4つの元素魔法を僕は習得している。
調合は完全に化学の世界だから魔法が関与することはほとんどないが、
ギルドの仕事で城下を出るときにはなくてはならない。

ギルド、と言うのは冒険者ギルドだ。
異世界からの勇者のなりそこないの受け皿、といってもいい。
ここに所属することで僕らは生活の糧を得ている。
王立病院へも、ギルドから派遣されているようなものだ。

受け皿となってくれる代わりに
ギルドはいろんな仕事をいいつけてくる。
街の小間使いからモンスターの討伐、なんでもだ。

こないだは、八百屋の野菜が盗まれるというので調べにいったら
店の裏に住み着いたゴブリン親子に絡まれてひどい目にあった。


今回の依頼は、メリルという女の子からのものだ。
なんでも飼っていたハナアルキが母親に南の森に捨てられてしまったので
餌をあげてきてほしい、というものだ。

アベル「いったい、どうすりゃこの先にすすめるんだ。
    さっきから同じところをぐるぐるしっぱなしじゃないか!」
ギース「そういきりたっても仕方ないだろう。少しは落ち着いたらどうだ」

ギースは病院に薬草をおろしてくれる木こりの一人だ。
彼も勇者候補として召還された異世界人の一人らしい。
大柄なヒゲの大男だが、温和で物腰も柔らかい。
この世界には半年ほど前に召喚されたようで
僕は彼からこの世界のことを色々教えてもらっている。

今回の依頼で森に行くことになったので同行してもらったのだが、
どうやら当てが外れたようだ。

メイファ「そうそう、この森はちょっと変な魔法がかかってて、
     慣れないと奥にいけないようになってるんだよー。
     一歩踏みちがえれば、振り出しに戻るで、そのまま永久に迷う羽目になるから、
     慎重にやらなきゃいけないのに、アベルってばどんどん進んじゃうんだから
     はやくしないと、おやつの時間が過ぎちゃうよーアハハ」

この生意気なのが、猟師のメイファだ。
異世界からきた、とがった獣の耳をした獣人種。
ギースになついているらしく、よく一緒にいるのを見かける。
人を見ればからかってくるので性質が悪い。

しかし、ふざけているようで
いうことはいつも的をいているから、言い返せない。

アベル「・・・わかってるなら、メイファが案内してくれればいいだろう

メイファ「だって、リーダーのプライド傷つけちゃ悪いじゃない~

よく言う。

ギース「いつまでも、このままじゃかなわんぞ。
    メイファ、わかるなら先に立ってくれ」

ギースが声をかけると、
メイファはこちらににぃーっと笑いかけて、すたすたと歩き出す。


しばらくすると、さっきとはちがうところに出た。
どうやら、先に進むことができたらしい。

アベル「奥に抜けたみたいだな」
悔しい、とっても悔しい。

むぅ、と漏らした声をメイファが聞き逃すはずもなく
すぐにゲラゲラと笑い出したが、黙殺した。


*   *   *

奥に抜けてしまえば、あとは一本道だった。
無事にハナアルキをみつけ、おやつを渡す。

ハナアルキは代わりに種の植わった鉢をよこした。
どうやら、飼い主の女の子に渡せということなのだろう。


夕方、再び森を抜け(入り口に戻るのは簡単なのだ)
預かった苗を依頼人の女の子に渡す。

女の子「これをあの子が? ほんとに?!
    おにーさんありがとう、これ植えたらきっとあの子の子どもが生まれるわ!

そういって女の子は駆け出していってしまった。



ギース「・・・また同じことがおきそうだな、ありゃ」

アベル「そうならないことを祈るばかりだよ」



今日はもう日が暮れた。冒険者の宿へ帰ろう。



作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ