二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

地にありて

INDEX|4ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

「きみがあんまり可愛いから…。」脱力している。

「目腐ってるだろ。いや頭か…。」
「失礼な。」

「可愛いなんていわれても嬉しくないぞ。」
「私にはそう見えるんだ。」

「頼むから口にするな…。」
「口にしなくても変わらないぞ。」

「言われると力抜けるんだよ…。」
「慣れるまで言おう。」

「慣れるかそんなもん!」やはり怒らせると元気になるな。と思ったら思い切り溜息を吐く。

「駄目だ。力はいらない。」
「となると病院だな。」

「絶対嫌だ。」
「ではどうするんだ?」上目遣いに人を見て

「お願いがあるんだけど…。」
「珍しいな。」
「Msの整備がしたい。」じっと見てる。

「乗りたいんじゃないのか?」
「いや…。きりが無くなるから。それにおれが乗る必要は無いだろ。」

「そうだな。」
「駄目?」

「まあ。わたしとしては時間取られるのは気に入らないんだが。何より夢中になるだろうし。」
「おれにはそれが必要なんだと思う。集中することが。」

「わたしに集中してくれ。」
「あなたの周りは雑音が多過ぎて気が抜けないから…。家でボーつとしてるとかえって疲れる。頭切り替えるのに一番好きなことしたいんだけど。」

「わたしに夢中になってくれればいいのに。」
「よく言うよ。そう言うの嫌いだろ?夢中になられる前に逃げるくせに。」

「試してみるか?」
「未知との遭遇?それは怖すぎ…。」また可愛くないことを言ってくれる。手を握り締めてにっこり笑って
「大丈夫。この手は離さないから。」思い切り身を引いた。

「可愛くないぞ…。」
「だから可愛くないんだって!あなたも面白がってからかうのやめろよ。」
「別にからかってはいないが。」

「面白がってるだろうが。」可愛いからと言うと怒るな。にっこりして手を握ったままでいると
「あんたは呑気だな。」と言われる。

「きみは珍しくナーバスになっているな。」
「うーん。なんかね…。確かに政治は苦手だけど付いて歩いてるだけなのに…。」

「毒気に当てられるのか?」
「そうかも…。悪意は感じるけど今に始まったことじゃないし。」

「無視できないほどになっているとでも?」
「いや。おれが弱ってるんだろう。」

「何故?」
「わからない。ただ自分が薄汚れてるように感じる。薬を飲んだほうがいいんだろうけど嫌なんだ。」

「そんなに不安定とは思えないが。」
「あなたが落ち着いてきたから気が緩んだかな…。」

「では話は簡単だな。」
「ちょっと手抜きするなよ?」

「きみが元気でいてくれればそれが一番だ。」
「人をサボりのネタにするのは止めてくれ…。で?駄目?」

「少し考えさせてくれ。」少し笑って首をかしげる。
「即効却下されると思ったよ。」

「そうしたいのはやまやまだが、元気の無いきみを見ると仕事する気が失せる。」
「だから人をサボりのネタにするなって…。あなたが何かする度におれの所為にされてるような気がするぞ。」

「そのままだろ。」言うと眉間に青筋が立つ。おお。つい感心してみてしまう。と口を押さえて
「気持ち悪くなってきた…。」と言い出す。

からかいすぎたな…。とりあえず頭を冷やして水を渡しそのまま寝かす。
「明日も休みだな。」
「それは嫌だって…。」青い顔して丸くなっている。

その髪を梳いていると落ち着いてきたようで顔色が良くなってきた。
着替えるのに側を離れようとすると服の端を掴んでいる。頼られているうちか…。

そのまま膝に抱きかかえて「大丈夫か?」
「髪梳いててくれると少し楽…。」
「そうか。」神経質な動物を撫でている感じだな。ペットを飼っていた子供の頃以来か。

「…ペットがどうかした?」
「…寝なさい。」普段全然感じないようなのに何だ?沢山の人に会うのがよくないのか?

          

休暇を取れと言われてまた置いてかれた。休暇ですか?おれよりやつのほうが取るべきだろう。
言うと鍛え方が違うとか言うんだろうな。悪かったな。単に偏頭痛なだけだろうが…。

キッチンもテーブルも片付けてある。花の水も換えてあるな。やっぱまめだ。そつがない。だから心配なのだけど。

部下にも常に完璧を求めるきらいがあるから時々相手の反応に苛立つ。
嘘や誤魔化しは嫌うし見抜くし公平さを旨として良い上司だと思うけど。あれはわざとやってるのか?たまに本気で苛立ってるな。

そういう時はどうにか気を引くとすぐ収まるようだけど。それをやるとおれが目立つようで…。
後で感謝されても嬉しくない。ひたすら目立たないようにしてるのに。

まあ、もう既にお稚児さんの噂が立ってるから遅いか。それにしてもお稚児さんておれ幾つに見られてるんだろ…。

年の設定までは気にしてなかったな。面と向かって言う人が居無いからって平然とつれて歩くもんなあ。挑発してるのかな?

冗談抜きで回りに慣れさせる気か?嫌な上司だな…。権力の使い方間違えてないか…。あ、また頭痛くなりそう…。

ふと花を見て言われた言葉を思い出す。
「花は人を癒すために咲く。」癒しか…。

Msに触れるかどうかわからないし生き物に触れる時間を増やした方がいいかもしれない。
機械的になりすぎるから疲れるのかな…。

邪念の無いものにふれたい。日頃邪念だらけなんだか違うんだか判らないのに張り付かれてるからなあ…。溜息。
折角良い天気なんだから庭に出るか。


ベランダから庭に出て花の世話をしてる所を少し離れて見る。この庭この空間そのものがやつのためにあるというのにあんまり見てる時間無いんだよな。

もう少し休めるようになりたいものだ。そう言えば食堂には毎日花飾ってあるな。余り気にしたこと無いが居間にも飾るようにしよう。少しは和むかも。

あーあつちは勝手に和んでるようだから問題はおれかぁ。何か考えないと家から出してもらえないかも…。
仕事しないとうつになりそうでやばいんだよな…。

ボーつとしてると近くでガサゴソ音がする。犬?いやここには居無いはず…。花の陰から小さなスコップを手にした子供が出てくる。

髪に葉っぱがついてる。トットットと近づいてくる。慌てて転ばないように支えるとにっこり笑う。
つられて笑いながら髪から葉っぱを取る。

「どこから来たの?」
「あつち。」
「連れてってくれる?」こっくりうなずくとくるりと向きをかえまた走り出す。よく走る子だなあ。元気だ。

「グランパ。」と飛びつく。
「こんにちは。」大きな手を子供の頭に乗せて目を向ける。

「昨日はお花ありがとうございます。」うなずく。…寡黙なんだな。服のすそを引っ張られて子供に目線を合わせる。

「どうしたの?」
「これ。」と花の種を渡される。手伝えと?

「どこに蒔くのかな?」
「あつち。」引っ張られるままに付いてゆく。庭の隅にある小屋の前に小さな花壇が用意されている。

「蒔いて良いのかな?」
「うん。」種を小さな手に乗せてあげる。

「蒔き方知ってるかい?」
「うん。」柔らかく均してあるところに小さな指で小さな種を置いて少し押して横においてあつた土を上に薄くかぶせて水をやる。

にっこり笑って
「やつて。」と言われる。

「全部蒔いて良いの?」嬉しそうに
作品名:地にありて 作家名:ぼの