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地にありて

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「うん。」と言うので今蒔いた所を避けて残りを蒔き水をやる。見てないときに水遣りで出てきた種をこっそり押し込む。大丈夫かな?

「終わったよ。」嬉しそうに見る。
「こっち。」とまた引っ張られる。行くと木の小さな板とペンを渡される。

「えーと…。何書くのかな?」
「種の名前。今日の日付。」はいはい。書いて渡すと持って走ってく。
転ばないか気になるのでついて出る。さっきの花壇の端に刺してる。

「花好きなの?」
「うん。グランパみたいになるの。」
「グランパ好きなんだ。」
「大好き。」体中で表現してる。凄いパワーだ。分けて欲しいな。

子供と動物は見てる分には癒し系。相手してると色々大変だけど嫌いじゃない。
根性の悪そーな狸連中の相手なんかしてるよりずっとまし。でかい狸は一匹で十分だ。

「グランパ。」とまとわりついてる。と何か言い聞かされて大人しくその側に座ってじっと仕事する様子を見てる。
聞き訳が良いなあ。良い子だ。と大人しくしてると思ったらこてっと頭が落ちた。寝てる?

起こすより木陰に座らせた方がいいかな。近づいてそっと抱き上げて抱えたまま近くの木陰に座る。
さして重くないし起きるまでこのままで大丈夫だろう。寝てる子供の顔を見てるとこっちも眠くなる。

ぼーっとしてると影が差して膝から子供を抱き上げ立たせる。目を擦りながら
「なあに?」
「お昼だ。」

「もうそんな時間ですか。」仕事してないと体内時計が働かない。
「一緒に食べよう。」と子供が手を引く。思ったより強い力で引かれつのめりながらついていく。
その後ろから無言で歩いてくる。断れない雰囲気。

食卓に着くと水を出され隣に座ってにこにこした顔で見られる。つられて笑う。シチューとパン。
「いただきます。」
「いただきまーす。」

美味しい。食べ終わって子供と洗いものして片付けるとコーヒーを出してくれる。
「ありがとうございます。料理はご自分で?」
「やもめ暮らしが長い。この子が来たのは最近だ。」

「そうですか。良い子ですね。」午後の勤務時間になったので部屋に戻ろうと席を立つと子供に
「帰っちゃうの?」と言われる。

「仕事の邪魔になるからね。」
「じゃ一緒に手伝おうよ。」と引っ張られる。無言で作業着を渡される。きらきらした目でじっと見られる。はいはい…。

たまには肉体労働も良いでしょう。手伝わせていただきますとも。

            

仕事がおざなりですと注意されて帰ってくると食堂の隣の部屋でアムロがシェフにマッサージされて騒いでいる。
「何騒いでいる?」
「みての通りだけど…。」

「筋肉痛です。運動不足がたたっていますね。」
「痛いわくすぐったいわで。慣れないから。」背中押されてうぎゃうぎゃ言いながら目が半分寝ている。

「筋肉痛とは。今日は何やっていたんだ?」
「庭仕事の手伝いと子守。」ああ。庭師のところに最近子供が引き取られたんだったな。孫娘とか。

「相変わらず子供にもてるな。」
「羨ましい?」
「妬けるな。」シェフは給仕のために下がってアムロは肩を回しながら起き上がる。

「食事にしたら?」
「付き合ってくれ。」
「いいけど寝るかも。」

「寝たら抱いて運んで行く。」肩をすくめてついてくる。
「で?具体的に何をしていたんだ?」

「腐葉土作りの手伝いとか枝払いとか肥料運びに虫取り。裏でこっそり野菜作りしてたんだな。敷地内全部見たわけじゃないから知らなかった。」

「気晴らしになったようだな。」
「やっぱり体動かした方が良いみたいだけど疲れて眠い。」もう目がくっつきそうだ。

「それで明日から花を育てる手伝いさせられるみたいなんだけど…。」
「ついでだ。しばらく休むか?」

「ちゃんと仕事してるのか?」
「勿論だ。」
「ならいいけど…。」胡散臭そうにみる。失敬な。

「じゃお言葉に甘えて明日は庭仕事に精出すよ。何かあったらナナイさんが言ってくるだろうし。」
「信用無いな。」

「お互い様…。Ms触らせるより庭仕事の方が心配ないんだろ?」
「庭仕事より子守りが良いみたいだな。」
「子供は可愛いよ…。」]

「わたしには煩すぎるが。」苦笑してカップを置くと半分寝てるようだ。ボーつとしながら
「単純なものに触れてるとほっとする。子供と動物…。植物。機械。人は苦手…。」

「わたしは?」
「無視したら祟られそう…。」そう言うわりに寝るのか…。
「起きないと背負っていくぞ。」

「ああ。おれ今晩こっちで寝るから。」目も開けないで手を振る。
「どうして!」
「朝早くから子供が起こしに来るんだよ。」

「子供が来る前に起こすぐらい簡単だぞ。」
「ドアの前で待たせるの可哀想だろ。あのドアは中からしか開かない。それに子供でなくてもあの部屋に人を入れたくないだろ。」

「それはそうだが…。」あの空間が我が家だと思っている。
「じゃ。良い子で仕事しろよ。」と言ってさっさと部屋に引き上げてしまった。酷い…。

            

朝早くから子供に文字通り叩き起こされる。元気だ…。一緒に軽く食べてから引っ張られて外に出る。

もう起きてる気配がして窓から外を見てるのが目に入った。まさか寝てないとか言わないだろうな。

何時まで時間くれるんだろ。やつのほうが神経質だから心配だ。

こっちは部屋にこもってるよりいいから今日だけでも大分違うと思うけど。問題は仕事しながらどうにかしないといけないことなんだが…。
ま。後で考えよう。働いてからのほうが何か浮かぶかも知れない。

庭仕事は肉体労働その上細かい所に気をつけないと枯れてしまう。はっきり言って苦手部門。
機械の精密さとは別だ。その分新鮮ではある。体を動かしてるうちに意外に楽しくなつた。子供と一緒だからかな。

時間がたつのも忘れる。分刻みで時間を気にするのも結構ストレスになるものなんだな。毎日それをこなしてるんだからたいしたもんだ。

だから余計Msから降りたくないんだろうな。だからと言って仕事は真面目にして欲しい。…人のことは言えないな真面目にやらなきゃ。

芝刈りとか枝払いとかに人手を借りても基本一人で庭を見てる。温室とバラ園。シェフと一緒に菜園。
休み無しじゃないか?聞くと「生き物相手だ。」とあたりまえのように言われる。

「でもたまには少しぐらい離れても良いんじゃないですか?2・3時間ぐらい。」
「この子をどこかに連れて行くときぐらいは。」と子供の頭を撫でる。

「どこも行かなくてもいいよ。」ぽんぽんと頭をたたいて「そのうち。色々触れないとな。」
「動物園ぐらいなら何時でもお供しますが。」と言うと何故かおれの頭までぽんぽんたたく。子供と一緒か…。

夕方まで子供と一緒に短い指示で動き回る。自分で見て動けるようになったら楽しいんだろうな。
子供はじっと葉の裏や色を見てる。凄い集中力だ。

「花は喋らない分ちゃんと見てあげないといけないんだよ。」
「手をかけた分応えてくれる。」

「人もそうだといいんですが。」
「かけ方だ。」
「そうですね。」

ざるで水を汲んでいるような気持ちになってるようでは駄目だな。
作品名:地にありて 作家名:ぼの