デジキャラット・シンフォニー
「跡継ぎ?めんどくさいにょ」
でじこたちは平田先生の案内で車に乗った。
「そろそろ昼だ、ラーメンでも食べないか?」
「ラーメン、もうちょっと高級なほうがいいにょ」
「ぷちこは納豆がいいにゅ」
「ちょっと待って、ここは確か九州よね」
「ああ、そうだが」
「と、いうことはとんこつラーメン、食べたーい」
「ああ、とんこつだよ」
ラーメンを食べた後にでじこたちは門司港駅に向かった。
「おかわりできるラーメンなんて知らなかったにょ」
「でじこちゃんたちはよく食べるね」
「まだ足りないにょ」
「そうくると思ったよ」
まもなく駅の前に机が置かれ、掛け声が始まった。
「全国、駅は数々あれど、門司港駅は国の重要文化財、終着駅に始発駅、ホームにありますゼロマイル、レトロの町の玄関に、明治大正昭和の御世に、古い建物面影残す門司はバナナの叩き売り・・・。」
「なんなの?これ?」
「そうか、うさださんは知らないか、これは門司のバナナのたたき売りといってね、
昔は日本のどこでもこうしてバナナを売っていたんだ。現在は無形重要文化財になっているんだよ。」
「それならすぐ買うにょ、ラーメンだけじゃおなかすくにょ」
ちょっと待ったと平田先生がでじこを止めた。
「なんでとめるにょ?」
「少し見ていけ、面白いから」
平田先生はそう言うと自ら机の前に進み出た。すると、掛け声が少し止まり、調子が変わった。
「そこにおわすは門司で生まれて下関育ち、京都名古屋と渡り歩いて最高学府東大の教授にのぼりつめ、ついに日本一の歴史学者とうたわれた平田道明大先生!」
でじこたちはええーっと声を上げた。
「平田先生のふるさとってこの町なの?」
「どおりで古い町だと思ったにょ」
「門司の名を売る平田の歴史と叩き売り、今またレトロの町に名を残すバナナたちもお出迎え、さあさ買うた買うた、500から」
「でじこちゃん、見ていろ、今に値段が下がるぞ」
その言葉どおり、バナナの値段は下がり、350円になったところで平田先生が言った
「よし、4つ買った!」
すると叩き売りのおじさんは8房のバナナを出してきた。
「ちょっと、4つと言ったはずだが」
「サービスですよ」
「まいったなあ、こんなに食べられるか?」
「余った分はでじこが引き受けるにょ」
バナナを食べながらでじこが言った。
「面白い売り方だにょ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 作家名:細川智仁