デジキャラット・シンフォニー
「でじこたちが新しい歴史を作るんだにょ」
傍らでは平田先生と吉村さんがいた。
「形だけでもレポーターとして仕事したということにしておかないとな」
そういって平田先生は吉村さんにビデオを回してもらい、あかりと二人で対談していた。
「平田先生、タイトルは私が考えたんです」
「プロジェクトZ 新しい歴史を作ろう!東大教授・平田道明の挑戦!」
「いいじゃないか、早速収録しようか」
船の中では作戦会議が開かれていた。
「つい勢いで出航してしまったが、勝算があるのかと聞かれると・・・」
「平田、株の計算とは違うぞ!ここまで来たら腹をきめろ!」
「自分なら必ずできると信じるものが最後に笑う。自分の言葉でこうなってしまうとは」
「平田、おまえもいつかはこうなることは覚悟していたんじゃないのか?」
「覚悟はしていました。でも実際こうなってどうするのかという準備もしていません」
「平田がそういうと思って用意しておいた」
尾崎先生が一枚の紙を広げた。
「ずいぶん古い紙ですね?設計図用青写真じゃないですか?」
「何だにょ?」
「昭和39年6月3日・・・水産講習所教諭 尾崎和夫・・・って、これ40年前のものじゃない」
「そうだ、いつかはこうなると思って40年前に準備しておいたのだ」
「平田先生もすごいけど、尾崎先生も恐ろしいぴょ」
「40年前にすでにこうなることを考えておられたとは・・・・」
尾崎先生は図面を見ながら解説を始めた。
「私の長年の研究の結果、北朝鮮を滅ぼすには方法は一つしかない」
「まさか、核兵器でも持ち出す気ではないでしょうね?日本は世界唯一の被爆国ですよ?分かってらっしゃるんでしょうね?」
「おお、もちろんだとも。世界唯一の被爆国だからこそ核兵器の恐ろしさを身をもって示すことができるんじゃないか!」
「頭のいい人は紙一重にゅ」
「そこで、ここを狙う」
尾崎先生が指し示したのは、ナムポという港町だった。
ナムポは日本ではほとんどその名が知られていないが、かつては旧日本海軍が根拠地を置き、戦後となってもピョンヤン、ハムフン、ウォンサン、ケソンなどと共に特別市になっている重要港であり、ピョンヤンまでわずか50キロしかない。尾崎先生は独裁者との決戦にこの港を選んだ。
「この町を落とせば、独裁者の息の根が止まる!ただし、失敗すれば自分たちの息の根が止まる」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 作家名:細川智仁