デジキャラット・シンフォニー
そう言うと平田先生は静かに語りだした。
「小田急の終点は新宿ではないんだ。もともと小田急は小田原から東京都心を目指して建設された鉄道だが、第1期工事ではとりあえず新宿を仮に終点とした。当時の新宿は畑もあって駅前は東京市電の終点で交通の便も良かった。第2期工事では町田から江ノ島まで工事した・・・」
「ちょっと待つゲマ!相模大野からじゃないのかゲマ!」
「小田急開通当時は相模大野駅はなかったんだ。だから町田から列車を走らせた
最初は分岐点がある信号だけだったんだ。相模大野の駅ができるのはそれから10年もたってからのことで、それまでは町田から列車を走らせていたんだ。」
「へええ」
「そしてその後、第3期工事が始まった。新宿から地下を掘って四谷、銀座を通り、当時小田急の仮本社があった万世橋まで直通する計画だった。当時は中央線も始発駅は東京駅ではなく万世橋駅で、銀座線の終点もあった。中央線の万世橋駅の跡が現在の交通博物館だ」
「さすがは歴史学者ゲマ!」
「実はトンネルを掘るだけの工事は終戦前に完成していた。軍の要請でね。後はレールを引くだけというところで戦争が終わり、掘ったトンネルはそのまま放置された」
「無駄にょ、掘ったトンネルは使えばいいにょ」
「使っている、その時掘ったトンネルのほとんど全部は後に地下鉄丸の内線の路線として使われた」
「そうだゲマ!新宿から四谷、銀座を通るというのは丸の内線のルートゲマ!」
「廃線利用にゅ」
「しかし、終着駅となるはずだった万世橋駅はそのまま残された。中央線や銀座線の駅も一部はそのまま残っている。そして小田急万世橋駅もそのまま残った。おそらくここがそうだ」
平田先生は扉を開けると中に入った。すると飛行機がたくさん置いてある。
「どうやら戦時中はここは飛行機格納庫にしていたらしいな」
「使えるのかにょ?」
「さあ、どうかな?」
「平田先生でもわかんないのかにょ?」
「まあ、知り合い呼んでみてもらうか」
3、謎のコイン
でじこたちはゲーマーズへ帰った。
店は既に半分近くが壊れていたが、商品は大きなもの以外はほとんどが無事だった。
「ただいまにょ!」
「お帰りなさい、でじこちゃん」
平田先生を見るなり店長の顔が変わった。
「ひ、平田先生・・・」
「偶然この子たちを助けたんだ」
「ありがとうございます」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 作家名:細川智仁