デジキャラット・シンフォニー 2
外国の放送局は民放は極めて少なくてね、国営もあれば公社もあれば地方自治体の経営もあれば、政党が運営する放送局もある。あと多いのは「宗教放送」だな。外国では教会が放送局を運営する場合が多い。ほとんどがキリスト教関係だが。だから株式会社はほとんどなかった。経営は宗教放送の一部を除いてはどこも安定していた。だが困ったことに外国放送はほとんどがリスナーの事を考えていない。なぜなら国営放送や教会が母体ならラジオを聴いている人がいてもいなくても収入は入ってくる。国営なら税金、教会ならお布施がラジオの成績に関係なく入ってくるからね。だから自己満足の放送しかできなかった。これではリスナーはみんな離れてしまった。だからリスナーのことを考えより楽しい放送を目指す姿勢の番組があるとうれしくてね・・・
そして、投票日を迎えた。
久弥はこの日は昼過ぎまで寝ていて、それから投票に行った。
一方、神戸でも都知事選挙のニュースが流れていた。
三宮のケーキ屋で働いていたでじこの友人、りんなはそのニュースをじっと見ていた。
「生田さん・・・」
「なんや」
「私、ちょっとでじこちゃんの所へ行ってくるみゅ。平田先生の息子さんにりんなのおいしいケーキを食べさせるにゅ」
「待て!」
ケーキ店の主人で平田道明の弟子、生田守が呼び止めた。
「久弥はんへ祝いのケーキでも届けるんか?」
「そうみゅ」
りんなは止められても行くつもりだったが。
「そんならわしらみんなで行こうや!今ならまだアーバンライナーの最終便に間にあうはずや」
生田は阪神三宮駅に行き、ケーキの材料を積み込むとりんなと一緒に上本町経由で名古屋を目指すことになった。
「急やからこんなんしかなかったが・・・あれ?」
すでにりんなは寝ていた。
一方、賢島でも威勢のいい声が響いていた。
「でっかい魚が釣れたみゃ」
こちらもでじこの友人で魚屋のみけだった。平田道明の計らいで三重県賢島に預けられていたのだ。
「駅長さん、見るみゃ」
「ほう、すごいな」
「平田先生に見せられないのが残念みゃ」
「そうだ、確か今日は先生の息子さんが選挙に出ているんだ」
「選挙?」
「ちょうどいい機会だ、息子の久弥さんに魚を届けよう。列車の発車時間まであと2時間ある。できるだけ大きい魚をいっぱい釣ってくれ」
「わかったみゃ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁