デジキャラット・シンフォニー 2
果たして次の日、兵庫県西宮市の西宮神社で暴動が起こった。
この神社では「商売繁盛なら笹もってこい」と呼ばれ、神社を参拝する人は手に笹を持ってくる習慣である。誰が起こしたかがわからぬまま参拝者の集団はいつしか暴動へと変わっていった。
続いてその次の日には下関・唐戸の英国領事館前で暴動が起こった。尾崎和夫先生の息子、尾崎守道が首謀者となって起こした「下関港船員暴動」の始まりである。
尾崎守道、人呼んで「無法松守道」と呼ばれた下関の暴れん坊であった。
暴動は数日間で東は小郡まで、西は関門海峡を越えて門司、小倉、折尾にまで達した。門司では「世直し平田道明」の旗まで立ったという。
さらに次の日になると暴動は姫路、高松、そして上本町にまで及んだ。
6.東京都知事・平田久弥
一週間ほどして、東京都知事になった久弥は東京都庁に初登庁した。
都庁では歓迎されたが、一方で久弥の当選を良く思わない人たちもいた。
原口恒雄もその一人だった。原口はあくまで自分の負けを認めずに新宿駅前などで「平田に中傷ビラをばら撒かれた」などと言い張っていた。
それを見ていたでじこたちはあきれ果ててしまった。
「勝ったら「みなさんのおかげです」と言っておきながら、負けたら相手のせいにするような奴は大物じゃありませんにょ」
「自分の非を認めない奴に明日はないにゅ」
久弥は早速都議会で施政方針演説をしていたが、傍聴席があまりにうるさく演説が中断したままになっていた。原口派の議員や支持者がとてつもないやじを浴びせ続けたからである。これに対して議長が警官隊を使って傍聴席から傍聴人を追い出したため事態は余計悪化した。
初日を終え、久弥は町田の自宅へ戻った。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「うさださん、でじこちゃんたちは?」
「今、台所でミルフィーユさんたちと・・・」
その言葉を聞いた久弥は戦慄した。
「それはいかん、直ちにやめさせるのだ」
久弥はあわてて台所に行くと、そこで爆発が起こった。
「遅かったか・・・」
「またやっちゃいました〜」
「ミルフィーユ!二度と料理をするなといったろう!」
「迷惑な女だにょ・・・」
「恐ろしいにゅ・・・」
「すると、私の帰りを待ちきれずにでじこちゃんがミルフィーユに料理を頼んだのか?」
「久弥さんの秘書なら料理が得意だと思ったにょ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁