デジキャラット・シンフォニー 2
「私はここで5日間南十字星に祈る。このランプがそれまでともっていれば私の寿命はまだ延びるだろう。だがそれまでにランプが消えれば・・・」
「消えたら・・・」
「私の死は免れぬ」
「にょー」
「だから5日の間、誰が来てもここを通すな!」
そう言って久弥は祭壇で祈りを始めた。
それから5日間、久弥は南十字星に祈り続けた。
そして5日目に入ったときだった。
「大変よー」
「うさだ、この中に入るなにょ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
うさだは祭壇の中に入り、はずみでランプを倒して火を消してしまった。
「あっ、ごめんなさい」
「うーさーだー・・・」
でじこはうさだに襲い掛かった。
「ちょっと、あやまっているでしょう」
「これがあやまってすむことですかにょ、久弥さんが死んだらうさだの責任にょ!」
「よせっ!ランプが消えたのはうさださんのせいではない、これ全てが天命だ!どうやら私の死は免れぬ運命と見た」
「そうですかにょ・・・」
「渡辺さん、どうやら私も寿命が来たようだ」
「久弥、情けないこと言わないでくれよ。せっかく都知事まで登りつめたんじゃないか。これからと言うときにおまえが死んでしまったら誰が東京を救うのだ」
久弥はでじこを指差した。
「まさか・・・」
久弥はでじこを枕元に呼んで、南十字星の旗を手渡した。それは尾崎先生から道明、そして久弥に伝わったものである。
「でじこ!この旗が渡されたと言うことはでじこが平田先生と久弥さんの跡を継いで陽明学の世の中を作れと言うことゲマ!」
「でじこが・・・新しい世の中を作るのかにょ?」
「皆に言っておく、私は志半ばにしてこの世を去るが、父上と私が夢見た世の中を作るのはここにいるでじこちゃんをおいて他にはない。私亡き後は皆ででじこちゃんを支えて新しい世の中を作るのだ」
全員が目にかすかに涙を浮かべた。
「ミルフィーユ、私の政治家としての跡目はでじこちゃんに譲るから、秘書としてでじこちゃんを支えてほしい」
「はい、わかりました」
「それから渡辺さん、私が死んだ後は簡単に制度や政策を変えることがないようにしていただきたい。そのために私がこれまで任命した者は任期満了に至るまで一人としてやめさせてはならない」
「わかった」
久弥はぷちこには自分の食器と土鍋、うさだには大きなリボン、ぴよこには「反逆の走路」という本を与えた。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁