デジキャラット・シンフォニー 2
みけが指差した先には灯台の明かりが見える。それこそが神戸ポートタワーの光だった。
「あれが三宮・・・」
翌日の朝、でじこたちの船はポートアイランドに入港した。
美香はポートアイランドででじこたちを出迎えた。
「でじこちゃん、いらっしゃい」
だが美香が声をかけても誰一人答えなかった。
でじこが泣きながら言った。
「美香さん、会って欲しい人がいるにょ・・・」
「まあ、だれかしら?」
でじこはぷちこと一緒に棺を担いで美香の前に置いてふたを開けた。
「あかり・・・、そんな・・・」
「江ノ島から逃げる途中、撃たれて死んだにょ・・・」
美香はあかりの棺にしがみついて泣き叫んだ。
「久弥さんの弟、和彦さんも江ノ島で死んだにょ」
「信じられない・・・」
その時、周りのタカラジェンヌたちが騒ぎ出した。
「おのれ!もう許せん!」
「もう、でじこの頼りは美香さんだけになったにょ」
美香も立ち上がった。
「久弥さんや和彦君を苦しめたばかりか、あかりまで!これは人間のやることじゃないわ!神戸の町は道理に反することは許さない!」
「美香さん・・・」
「よし!みんなで原口恒雄を倒す!そして伯父上の望み通りでじこちゃんを政治家にする!」
次の日の夕方、でじこたちは六甲山へ向かった。
美香はあかりの棺を六甲山にある平田家の墓地へひそかに埋葬することにしたのである。
平田家の墓地は西洋式で、芝生の上に平たい墓石が乗っているものだった。
あかりの棺の埋葬が終わった頃には日が沈んできれいな夜景が現れた。
「でじこちゃん、久弥さんが言っていたのはこの景色よ」
それはまばゆいばかりの夜景であった。
「ここからは三宮から大阪の上本町までの電灯の光が全部見えるの。伯父上はこの景色を大変気に入っていたわ。そのため伯父上は生前に墓地を作り墓を上本町の方向に向けて立てていたの」
「きれいにゅ」
「これが神戸の100万ドルの夜景、今は1000万ドルの夜景とも言うわね」
「お金にはかえられないにょ」
「50年ほど前、ここから見える電灯に使われる電気代を全部合計したら一晩で当時のお金で100万ドルになったと言われたから100万ドルの夜景と言われたの。今はそれよりも電気代が上がったから1000万ドルの夜景と言われているわ」
「100万ドルは電気代ですかにょ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁