デジキャラット・シンフォニー 2
「ああ、ぴよこちゃん。実は王様が夕食をお召し上がりになられる時刻なのだが、王様に出すご夕食のおかずが足りんのだ」
「それならこれを使うといいぴょ」
ぴよこは自分で作ってあった黒豆の煮つけを杉差し出した。
「おお、これはちょうどよい。早速王様にお召し上がりいただこう」
しばらくして、杉本侍従は王様に呼ばれた。
「夢浮橋(杉本侍従)、これはおまえが用意したのか?」
「はい」
「この黒豆の煮付け、私は気に入りました。作ったのはあなたですか?」
「いいえ」
「では、誰に作らせたのですか?」
「私の元に居りますぴよこちゃんです」
「ぴよこ?」
「はい、須磨(平田道明)の息子、蛍(久弥)より宮殿で行儀作法を教えるようにとお預かりしている御年8歳の女の子にございます」
「直ちにここに呼んできなさい」
王様は杉本侍従に命じてぴよこを呼び出した。
「ぴよこちゃん・・・」
「どうしたのかぴょ?」
「大変なことになった。実はさっきの黒豆の件で、王様直々にお呼び出しがかかりました」
ぴよこは杉本侍従と共に王様に謁見した。
「何と品のよさそうな王様だぴょ・・」
王様はぴよこにたずねた。
「この黒豆はあなたが作ったのですか?」
「そ、そうぴょ」
「私はこの黒豆を大変気に入りました。あなたさえ良ければまた作ってください」
「はいぴょ」
「聞けば、何でも蛍(久弥)の家に住み、行儀見習いに来ているそうですね」
「そうぴょ」
「今は夢浮橋(杉本侍従)の元で身の回りの世話をしているようですね」
「久弥さんのすすめだぴょ」
「気に入りました。明日から夢浮橋と共に私直属の侍従として私の身の回りの世話をしてください」
「王様、この子はまだ8歳、侍従が務まる年齢では・・・」
「とりあえず夢浮橋を補佐する役目の侍従見習いとしよう。但しこれからは夢浮橋の下ではなく、私の直属となる」
「そうなると、侍従名を考えなくてはいけませんね」
「ぴよこちゃんはどこから来たのですか?」
「ぴよこはアナローグ星の王女だぴょ。土地は荒れていて貧しいところだから平田先生に国を豊かにしようと教えを受けに来たんだぴょ」
「では、その星の一面に花が咲くようにと願って、あなたの侍従名は「花散里」といたしましょう」
王様はぴよこにも侍従見習いの位を与えてそばに置くことにした。
以来、杉本侍従と共にぴよこも王様に侍従として仕えたのである。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁