デジキャラット・シンフォニー 2
「この国の王様は代々ぜいたくを嫌うの。先代の王様は着物が破れたら縫ってまた着ていたそうよ。今の王様はカレーライスが大好物だそうよ」
「デジキャラット星の庶民と変わりありませんにょ」
やがて会見の間に通されたでじこたちは王様の椅子の前に立った。
「この椅子が王様ですかにょ?」
「相変わらずうかつ者ね」
するとそこに王様が現れた。荘厳な雰囲気をかもしだし、良い服は着ていたが、色は地味で飾らない感じだった。
「よく来てくれましたね。若紫(美香)、でじこちゃん」
「ははっ」
でじこはぴよこに耳打ちした。
「ぴよこ、ずいぶん気安い王様だにょ」
「あれは本物の王様ぴょ。いつもあんな感じでいろんな人に声をかけるんだぴょ」
やがて、杉本侍従が詔書を読み上げた。
「勅命!詔していわく、余思うに、この国は父王が大戦の被害を目の当たりにして二度と国民にその参加を味わわすべからずと決意し、余も平和を守ること久し。しかるに原口恒雄たちは余の意をくまず、平和を壊し、余を東京に戻ること能わずに至らしめたこと重大なり。よって、この勅命を以って、余は平田道明が弟子、ショコラ・デジキャラットを先の東京都知事、平田久弥の正しき後継者と認め、平田道明が姪、平田美香をつけ、その一族郎党を以って、原口恒雄たちを討伐させ、この国と東京に再び平和をもたらさせしむ」
「なんだにょ・・・」
「王様はでじこおねえちゃんたちに原口を倒して平和を取り戻せと言っているんだぴょ」
「いやなこったにょ」
「でじこおねえちゃん、これを忘れたのかぴょ!」
ぴよこは「知行合一」の文字を見せた。
「久弥さんを東京都知事にしたのは、でじこおねえちゃんぴょ!杉本さんから全部聞いたぴょ!久弥さんが選挙に出るときにでじこおねえちゃんが久弥さんを説得したそうですぴょ」
「その時久弥に言ったそうですね。「久弥さん、「陽明学」を忘れたのかにょ!『世の中のために良いと思うことは自分で実行して世のため人のために役立てる』、自分で実行するにょ!」と」
でじこはうつむいて何も言わなかった。
「政治家は多くの人を助ける商売とでじこちゃんは言ったそうだね。平田先生も久弥さんもいなくなった今となってはでじこちゃんが自分でやるしかないんだよ」
「それができるのはでじこちゃんだけ、久弥さんはそう思ってでじこちゃんに南十字星の旗を渡しました・・・」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁