デジキャラット・シンフォニー 2
「王様の秘書をする仕事をする人のことだ。ぴよこちゃんはここで杉本さんのお手伝いをしながら超一流のマナーを身につけてもらう。王女としてであれば外国の王族の接待は必修科目だ。時として王様に会えるかもな」
「はじめまして、私の名は杉本正弘、号を「夢浮橋」という」
「?」
「宮殿に出入りする侍従はそれぞれ「号」という芸名みたいなものを持っている。私の号は「蛍」だ。父上も「須磨」と言う号を持っていた」
そういうと久弥はテーブルの上に扇を下に向けて立てた。すると杉本侍従はもう一本の扇を広げてすかさず扇に向かって投げたおした。
「お見事!」
扇は2枚が折り重なって倒れた。
「いつもながら杉本さんの「夢浮橋」は見事ですなあ」
これは「投扇興」という貴族の遊びである。台の上にある扇を投げて倒し、その倒れ方で点数を競うのである。杉本侍従は投扇興の名手で、「夢浮橋」と言う投げ技を得意とすることから「夢浮橋」の名が王様から与えられた。
アキハバラに帰ってこの話を聞いたでじこは大笑いした。
「ぴよこが王様の秘書見習い・・・できるわけありませんにょ〜」
「でじこなら無理にゅ」
「さて、帰って三国志を読むとしますかにょ」
でじこは久弥から本を借りずに毎日家に泊り込んで読むことにした。
「でじこも感心ゲマ・・・。でもこれは漫画ゲマ」
「まあほおっておけ、あれは当分手から離れんよ。一度読み出したら手から離れない
「四大奇書」だからな」
でじこが読んでいたのは、平田先生所蔵の「四大奇書」とは「水滸伝」「三国志」「項羽と劉邦」「封神演義」の4つの書であった。いずれも昔から読み継がれている人気の中国物である。
でじこたちは今日も平田邸に泊まりこんだ。
「それにしても平田先生はどうしてこの町に家を建てたのかにょ?」
「大学からは遠いにゅ」
「父上はこう言っていたな・・・
『今、正直、私は不思議な気持ちだ。これまで私は、東京のいろんな町を多数見てきたのだが…。町田はそれらの町とは少し違う…。名古屋や上本町や門司に通じるというか、上からの圧力をはねのけて商人たちが生き生きとしていると言うか・・・』
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁