デジキャラット・シンフォニー 2
町田は東京にあって関西のように商人たちが盛んに活動する町だから父上は自分の故郷・門司を見るようでなじみやすかったんだろう。現実に関西から東京へ進出する会社は必ず町田に東京第1号店を置く。町田駅前から発車するバスの終点は上本町あるいは三宮の駅前だ。父上の言う「上本町の南十字星」が現れるときにはバスに乗って見にいけるかなあ・・・・」
でじこは「三国志」最後の60巻を手にした。するとそこから古びた封筒がでてきた。
「何なのかにょ?」
封筒の表書きには「久弥へ」とだけ書いてあった。
でじこは久弥にこの封筒を持っていった。
封筒の中をあけた久弥は驚いて言った。
「これは・・・父上の遺言書だ・・・。」
「平田先生の遺言書かにょ?」
「父上はもともと体が強いほうではなかった。私が生まれた頃からいろんな病気を患いながら研究を続けていたからな・・・いつでも死ねると覚悟は決めていたのだろう」
「何と書いてあるにゅ?」
「うむ、『平田家に連なる所領、町田、名古屋、上本町、三宮、南風泊、門司、ナムポは一時は久弥に預けるが、それらはみな、ついには「ショコラ・デジキャラット」の存分に任すべく、うたがいこれあるべからず。久弥は「ショコラ・デジキャラット」が成長するまでの代理である』と書いてある。つまり父上はいずれ私が相続した財産は「ショコラ・デジキャラット」という人物に渡る運命にあると記してあるのだ。文面を見る限りこの人物は未成年者のようだな」
これを聞いた一同はあきれ果ててしまった。
「どうした?この「ショコラ・デジキャラット」と言う人物と知り合いなのか?」
「久弥さん・・・それはでじこの本名にょ!」
「父上はよほどでじこちゃんに目をかけていたらしいな」
ぷちこがふと横に目をやると、そこには愛知万博にある道明の銅像の写真があった。
「ああ、この間愛知万博へ行ってきてね・・・」
でじこはふと気付いた。
「もしかして・・・でじこが愛知万博の平田先生の銅像の前であったのは・・・」
久弥は小さくうなづいた。
次の日、久弥は店長と相談した。町田からアキハバラへ通うのは大変だからだ。
「それならいい話があります。町田駅前にゲーマーズ町田店を建設中なんですよ。
その店長を探していたんですが、町田出身の久弥さんなら適任です。明日にでも社長に話しておきます」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁