デジキャラット・シンフォニー 2
結局ゲームはぴよこの惨敗で終わった。
ぴよこは疲れてぐったりしていた。
広隆はぴよこを抱きかかえて戻ると、全員の縄を解くように指示した。
「おまえたちは解放する」
「え?」
「さっさと立ち去れ!」
そう言うと広隆はぴよこたちを解放した。
「一条さん、なぜショコラ・デジキャラットたちを捕まえておきながら逃がしたのですか?」
「お前たち気づかんのか?あれはにせものだ」
「え?」
「では、一条さんはショコラ・デジキャラットを知っているのですか?」
「ショコラ・デジキャラットなど知らん、だがあの子達がショコラ・デジキャラットでないことはゲームをしていてすぐに分かった」
「なぜ?」
「東大教授まで勤めた平田道明教授や平田久弥都知事ともあろうものがそう簡単に10歳の女の子を重用するものか。自分の跡継ぎにしようとするほどならショコラ・デジキャラットなる者はよほど知恵に優れた聡明な子に間違いあるまい。それがクイズゲームごときで私に負けるのはにせものである何よりの証拠だ」
「では、なぜ処刑しなかったのです?」
「これは平田美香のわなだ。にせものを送り込むということは、われらがにせものに気を取られているすきに本物はどこからか東京に入る。いわば陽動作戦だ。それだけでも我らは平田美香のわなにまんまと引っかかったことになり、面目丸つぶれになること間違いなしだ。それを下手に処刑すれば、我らは必ず何かのわなにはまり、我々はそれに引っかかって大打撃を受けるかもしれない。それでなくても女の子を処刑などすれば、我らは良くて世間の笑いもの、悪くて世論の集中非難を浴びる。にせものである以上、人質にして脅迫しようなど無意味だ。下手に殺したら余計火に油を注ぐことになりかねん。我らがこれ以上大恥かかないで済む方法は、何もなかったことにして、あの子達を逃がすより他はあるまい」
そこへ伝令が走ってきた。
「大変でございます。所沢にショコラ・デジキャラットが現れたそうにございます!」
「なにっ!」
「一条さんの読みはピタリだ。にせものがここにいる間に本物は所沢にいたとは・・・」
「全軍池袋に向けて出発しろと伝えよ!」
だが、所沢に現れたでじこも本物ではなかった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 2 作家名:細川智仁