デジキャラット・シンフォニー 3
「ステーキ?松坂に行く気ですか?」
「宝塚に行くんじゃないのかにょ?三宮で美香さんからステーキをご馳走になるんだにょ」
「ちょっとでじこさん、このチケット宝塚じゃありませんわ」
「え?」
「真紅、どういうことにょ?美香さんのチケットじゃないのかにょ?」
「確かに「宝塚歌劇団花組公演・主演 平田美香」とは書いてあります。でも、このチケットの公演場所が宝塚大劇場ではありませんわ」
「どうせ有楽町の東京宝塚劇場だにょ」
「でじこ、お前うかつ者にゅ。美香さんは年内は東京に帰って来ないにゅ」
「にょ?」
「じゃあ、どこなのよ?」
「中日劇場ですわ」
「と、いうことは名古屋」
その瞬間、ぷちこの顔がほころんだ。
「名古屋と聞いた瞬間、ぷちこの顔色が変わったにょ」
「ぷちこさんは名古屋が好きなのですか?」
「ぷちこは納豆と味噌煮込みうどんが大好きなんだにょ」
「神戸にはありませんものね」
「あなたたちもいっしょですわよ。ぴよこさん」
「見つかったぴょ・・・」
ぴよことBG団が物陰から出てきた。
道明や久弥たちとの交流を通してでじこたちは何度も名古屋に来ているためすっかり名古屋の通になってしまっていた。
でじこは「きしめん」、うさだは「エビフライ」が好きだが、ぷちこにとっては「なごやめし」が大好きで自分の食べられるものがいくつかあった。ぷちこの好きなメニューは
「味噌煮込み」「あんかけスパ」「台湾ラーメン」「手羽先」などいろいろあった。
ぴよこも例外ではなかったが、でじこたちとは食事を共にすることはなかった。
ぴよこだけはミルフィーユ秘書の手配で都心からやや離れた熱田神宮のうなぎ屋に来ていた。「ひつまぶし」を食べるためである。
そのうち、でじこもぴよこも不思議な集団をあちこちで見かけた。
男女を問わず白衣を着て「おかげ」と書かれたしゃくしを持って「ええじゃないか」とはやしたてる奇妙な集団である。でじこたちは黙ってみていたが、真紅だけは戦慄の目でこれを見ていた。
「マスターの予言どおりになりました・・・」
「え?」
「マスターは生前こう言っていました。空からお札が降るとき、人々は「ええじゃないか」と叫びながら足元の土台を崩してしまう。しかし古い時代を終わらせなければ新しい時代は決してやってくることはない・・・」
「まさか・・・また上本町の南十字星かにょ?」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁