デジキャラット・シンフォニー 3
邦俊は宝塚歌劇団そのものではなく、大臣権限で親会社の阪急電鉄自体をまること手に入れるという方法を考え出した。それも阪急電鉄の全ての株を大臣の権限で株主から没収すると言うことだった。
「それで美香さんは助かるのかにょ?」
「阪急電鉄はもうだめだが、宝塚だけは何とか助かる・・・」
かくして邦俊の案は実行に移された。
2ヵ月後、阪急電鉄の全株式が企業再生の名の下にでじこ大臣のものになった。
12.策士・松岡正通
でじこ大臣の阪急電鉄のっとりに驚いた人物がいた。麻生総理の腹心で国土交通大臣の松岡正通である。父親が東宝の幹部だったこともあり、阪急電鉄の大株主でもあった。実のところは麻生総理は宝塚の再生などには興味がなく、財産を失うことを恐れた松岡が麻生総理に働きかけた結果でじこ大臣の提案が却下されたのであった。
ところが、松岡の意思に反してでじこが無理やりのっとり計画を実行してしまったために松岡は財産の大半を失う結果になったのである。
「これ以上好き勝手はやらせない」
だが、宝塚を救ったでじこの手腕のほうが世間に評価されていた。
「なんとかでじこ大臣を抹殺する方法はないのか?」
「でじこ大臣を抹殺?あの専制君主と恐れられた原口恒雄でさえでじこ大臣に倒されたのだぞ」
松岡の話し相手は日本画家で元東京都議会議員の渡辺華仁である。渡辺は親友の久弥亡き後、でじこに味方して当時東京で権力を振るっていた原口恒雄を倒した。
でじこたちと一緒に王様から表彰を受けた後は国会議員に転身して国土交通副大臣になっていたのだ。
「でじこ大臣には平田美香など平田一族がついている。下手に反乱起こせば日本のどこへ逃げようと皆殺しになってしまうぞ」
「だったら日本でなくてもいいじゃないか?」
「どういうことだ?」
「外国で亡命政権を立ち上げるんだよ」
一方、でじこたちはあいからわずの日々をすごしていた。
アキハバラには日増しに乙女たちが増え続け、麻生内閣の政策で苦しむ人たちがさらに多くなった。
「いったい何考えてるにょ?これじゃ久弥さんの陽明学じゃないにょ!」
「でも久弥さんの本には麻生さんのやっていることと同じことが書いてあるにゅ」
「確かにそうだにょ、でも久弥さんは何考えてるにょ」
麻生内閣の政策はまさに久弥の本と同じことが書いてあった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁