デジキャラット・シンフォニー 3
「カプチーノ・プチキャラット。愛知県取締役に任命する。治所は名古屋市名駅セントラルタワーズ」
「ミケ・キャラット。三重県取締役に任命する。治所は鳥羽市」
「ピョコラ・アナローグ。京都府取締役に任命する。治所は烏丸御池」
「尾崎守道。山口県及び北九州市取締役に任命する。治所は下関市彦島」
「平田美香。兵庫県取締役に任命し、リンナ・キャラットを副官とする。治所は神戸三宮」
「牧村雪絵(ミルフィーユ秘書)。北海道取締役に任命する。治所は釧路市」
「真紅。埼玉県取締役に任命する。治所は岩槻市」
15.焼け野原の町で
こうして各取締役はそれぞれの任地へ戻っていった。
大阪は町の3分の1が灰になり物価の高騰が始まったが、でじこの悪口を言う大阪市民は誰もいなかった。
火は京都タワーからも見えたが、京都は落ち着いたものだった。豊富な水資源と食材によるものだろう。
「いつまでこんな味のない料理を食べてなきゃならないんだにょ」
「納豆もないにゅ」
「でじこおねえちゃん、京都の料理の値段知らないぴょ・・・。でじこおねえちゃんたちが食べている料理は一人前5000円以上するぴょ」
「こんな味のない料理がそんなに高いのかにょ?」
「でじこちゃん、それは本当の話だよ」
「にょ?味もないのにどうしてそんなに高いのかにょ?」
「でじこちゃん、京料理は舌で味わうものではない。香りを楽しむものなのだよ・・・」
「これはそんなにぜいたくなものですかにょ?」
その日、でじこは大阪に向かうことにした。上本町にある平田先生の銅像が心配だったのだ。うさだは止めようとしたが、美香が自宅が心配といってでじこを連れて行った。
でじこたちは被害の少なかった京阪電車に乗って三条から天満橋まで行った。
天満橋から地下鉄で上本町までいける、ようやくたどり着いた上本町駅は建物自体は残っていたものの壁が黒くすすけていた。
「これが平田先生が「光の駅」とまで言っていた上本町ですかにょ・・・」
周りの建物もことごとく壊され、駅の隣の「ハイハイタウン」のみが辛うじて残っていた。
しかし、駅の南側にあった平田先生の銅像はちゃんと残っていた。
でじこが平田先生の銅像の前に立つと、一人のおばあさんが声をかけてきた。
「でじこちゃん・・・」
でじこはその顔に見覚えがあった。それはかつてでじこを助けてくれた平田先生の妹、信子さんだった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁