デジキャラット・シンフォニー 3
ピンクの服を着た人形は真紅たちに襲い掛かったが、でじこがすかさず「目からビーム」を出したため人形はすばやくその場から立ち去った。
21.三尺三寸箸の宴
その夜、三島大社に一団が現れた。邦俊率いる先発隊である。
邦俊は静岡に王様を残し、自分は道を広げると言って先発隊で先へと急ぎ、三島大社にやってきたのだ。
昼間のいきさつを聞いた邦俊は驚いた。
「薔薇水晶ね」
「なんだ?それは?」
「ローゼンメイデン第7ドール」
「つまり、君たちの妹か?」
「邦俊さん、水晶をぶっ壊す方法はないのかにょ?」
「ふむ、アセチレンバーナーでも使ってみるか」
邦俊はアセチレンバーナーで薔薇水晶を溶かそうと考えた、が・・・。
そこへふすまを開けて一人の老人が入ってきた。
「お待ちなさい!」
「昼間のおじいさんにょ」
昼間でじこの相手をした老いた神職、それが三島大社宮司・町田安則だった。
「昼間の様子を見ていたが、相手はなかなか賢そうな子だった。バーナーなど使ったら返り討ちになってしまうぞ。ここは一つこの年寄りにお任せなされ」
「町田宮司、何を?」
「三尺三寸箸の宴をやるのだ」
次の日、町田宮司は立派な食事をみんなに用意した。しかしあることに気付いた。
「邦俊さん、箸がないにょ?」
「本当だ、これじゃ食べられないな」
「箸ならあるぞ」
見ると、それぞれの席の前にはたしかに箸に見える木でできた長い棒が2本置かれていた。棒の長さは1mもあろうか。
「町田宮司、この長い棒は確かに箸の様に見えますが、これが箸と言うならどうやって料理をとって食べるのですか?」
しかし町田宮司は何も答えなかった。
さすがに長さ1mの箸では料理を取って食べることはできない。全員が途方にくれてしまった。
しばらくしてぷちこがつぶやいた。
「でじこ、口あけろにゅ」
でじこは言われるままに口を開けた、するとぷちこは自分の持つ1mの箸ででじこの口の中に料理を運んだ。
「おいしいにょ〜。ぷちこ、お返しにこれ食べるにょ」
でじこもぷちこの口に1mの箸で料理を運んだ。
これにみんな気付いた。自分で料理を取るのではなく相手に料理を取ってあげる。
するとみんなが楽しく宴を始めた。
宴が盛り上がってきたところで町田宮司がカラオケセットを出した。するとたちまちマイクの奪い合いになった。
「人形のくせしてなまいきにょ!」
「歌うのは私ですわ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁