デジキャラット・シンフォニー 3
次の日の朝、でじこ首相が首相専用機で羽田を離れたというニュースが坦々と流された。このニュースを聞いたアメリカ政府はイラク戦争のときと違いこうもあっさりでじこ大臣が日本を離れたという知らせにかえってあきれ果ててしまった高官もいたという。いずれにせよでじこ大臣が国を離れよという要求は通ったため日本攻撃の理由がなくなってしまった。
24.国連総会
昼過ぎに政府専用機はシンガポールに到着した。邦俊はでじこたちが寝ているのいいことにこっそり全員をシンガポール航空機に乗せ換えた。しかも邦俊はシンガポール・チャンギ国際空港で会見を開き、でじこ首相はシンガポールにいることを強調した。これを受けてアメリカ軍はシンガポール入りを希望したが、シンガポール政府と英国政府が難色を示しさらに隣国のマレイシア政府は強硬に反対したためあきらめざるを得なかった。さらにマレイシア政府はでじこ首相の亡命受け入れを表明したが、邦俊はこれを丁重に辞退した。
この混乱に乗じて一行はカナダのバンクーバーに向かった。
バンクーバーではトランジットを装って邦俊は作業員に変装して作業を終わらせた。
そして向かったのが、シアトル・タコマ国際空港。ここででじこたちは目覚めた。
「ここはどこだにょ?」
「コーヒーのにおいがするにゅ」
「ここはシアトル・タコマ国際空港。じいさんが全米で最も先進的できれいな空港と評した所だ。」
そこででじこは懐かしい声を聞いた。
「みなさ〜ん、ご無事ですか〜」
そこにいたのはミルフィーユ秘書だった。
ミルフィーユ秘書はみんなにコーヒー、真紅だけにはミルクティーを持ってきた。
「ここシアトルは25年前におじいさまが全米での活動拠点に定めた町です」
「さすがじいさんだ。先見の明があったわけだな」
25年前といったら、シアトルの主要産業はボーイングしかなかった時代である。もちろんシアトルの名も日本ではほとんど知られていなかった。しかし、その後のシアトルからはマイクロソフト、スターバックス、マリナーズ、アマゾンドットコムなど後に日本でも大活躍する企業や産業が育っていったのである。全米で最もハイテク産業が進んだ町に道明がその拠点を定めたのは、道明・久弥親子の軌跡に大きな影響を及ぼしたのである。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁