デジキャラット・シンフォニー 3
「私たちは「アリス・ゲーム」と言って他の姉妹の「ローザミスティカ」を奪うことを宿命付けられていました。しかし・・・。私はマスターに会って考えが変わりました。他の姉妹から命を奪うことではなく仲良く暮らしていくことが大切なのだと・・・」
「そりゃそうだ。じいさんだったらそんな姉妹ケンカ許すはずがない」
「私はその考えの尊さを他の姉妹たちに説きました。今では薔薇水晶もマスターの考えに賛同してこうして私たちについてきてくれます。しかし最後までその考えに賛同しなかったのが水銀燈でした」
「そんなやつは平田先生の天罰で滅びるがいいにょ!」
「水銀燈のことですから何をしでかすか分かりません、急ぎましょう!」
こうしてでじこたちはすぐさま羽田に戻った。しかしそこは暗くなっていた。
いやな予感がしたでじこたちはすぐに宮殿に向かうことにした。
でじこたちが到着すると宮殿はもぬけの空になっていた。王様は宮殿入り口に近い宮殿病院へ向かったと言う。
「王様!大丈夫かにょ?」
「おお、私は無事だが、夢浮橋(杉本侍従長)がやられてしまった」
杉本侍従長は肩に傷を負っていた。
「まいりましたね、これじゃ投扇興がしばらくできないな」
「そんなこといってる場合じゃないぴょ」
杉本侍従長はぴよこに3本の扇を渡した。扇にはそれぞれ「夢」「浮」「橋」と記してあった。いずれも杉本侍従長の得意技「夢浮橋」にちなんだものである。
東京はすでに暗黒の雲に覆われていた。でじこたちは閣議を首相官邸ではなく有楽町の東京宝塚劇場の会議室を借りて行った。閣議といっても実質は対水銀燈の作戦会議だった。
「相手は恐ろしい奴にょ!そこででじこはこの際全員を有楽町に集合させてみんなで戦うことにしたにょ!」
すでにでじこはぷちこ、うさだ、ぴよこ、みけ、りんな、それに美香さんとミルフィーユ秘書とその妹ちとせも有楽町に呼んでいた。これに真紅たちローゼンメイデンの6人がそろって合計15名の乙女たちがそろったのである。
でじこたちが東京宝塚劇場を出るとすでに上空では水銀燈が町を焼き尽くして真紅たちをおびき出そうとあちこちに火を放っていた。
有楽町から発した火は西は日比谷公園、南は汐留、北は丸ビルまで迫っていた。
火は宮殿病院で杉本侍従長の病室にいた王様からも見えた。
「夢浮橋(杉本侍従長)、私は澪標(でじこ)たちの身を案じております」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁