デジキャラット・シンフォニー 3
「平田教授が認めた子です。きっと生きて帰ってきますよ」
「そうであってほしいのですが・・・。しかしその後はどうなるのです?」
「陛下?今のお言葉は?」
「夢浮橋(杉本侍従長)、分かりますか?澪標(でじこ)たちの働きはどのような結果であれ、今後この国の歴史に大きな影響を及ぼしますよ。平田の名前と歴史学と共に・・・」
その時、クウが病室にやってきた。
「おっさん、お客さんだぜ」
「こら!相手はかしこくもこの国の国王陛下であらせられるぞ!」
しかし王様はぴよこの家来である3人の医者のうちクウを一番気に入っていた。若い頃はほとんどの武芸・スポーツをたしなむ活発な若者だった王様は元気な若者が何より好きだった。そういった元気者をたくさん育てることがこの国を発展させる手段と信じていたからである。
王様の元へやってきたのは消防隊長だった。
「陛下、この度の大火、とても通常の体制では収まりません。なにとぞ消火のために宮殿の堀の水の使用を裁可していただきますようお願い申し上げます」
「うむ、裁可する!それからけが人は可能な限りこの宮殿病院に運び込むがよい。医者たちは力を合わせてできるだけ多くの命を救うのだ。薬が足りなければ私が御用金を出そう」
「陛下、あれは非常用の軍用金ですぞ!」
「夢浮橋(杉本侍従長)、今「軍用金」と言ったな」
「はい」
「お前は人と人とが殺しあうことだけが戦とでも思っているのか?この大火こそがこの国を滅亡の瀬戸際に立たせる戦争ではないか。その証拠に人々の殺し合いはないが、軍隊は出動して犠牲者もでているではないか!」
「左様でございましたな・・・」
「ならば国王である私が率先して指揮を取り、国民を救うのは当然のこと。私がやらねば誰がやるのだ?」
「陛下のお心は分かりました。皆の衆!陛下の考えを実行するのが陛下にお仕えしているわれら侍従の使命!直ちに陛下の命に従うのだ!」
こうなっては怪我をしている杉本侍従長もベッドに寝ているわけにはいかなくなった。
やがてけが人が次々宮殿病院に運ばれてきたが、杉本侍従長は自分の体を添木と包帯で固定してまでもけが人の介護に当たった。王様も自ら陣頭指揮に立ち、負傷者の介護に当たっていた。
そのころ丸の内中央口では邦俊と守道が消火活動に参加していた。
「急げ!東京駅を消失させてはならんぞ!」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁