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デジキャラット・シンフォニー 3

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そのうちだれかが「南十字星の旗」を持ち出した。もちろんこれは模造品である。
人々はいつしか南十字星の印を身にまとい、または掲げて「ワルティング・マチルダ」を歌いながら統制を取っていた。
そのかいあってか火は万世橋のガード下で止まり、あふれた火も淡路町や小川町付近で止まって御茶ノ水まで火が回ることは避けられた。
だが人々の動きは止まることはなかった。消火の隊列は神田駅前にも及び、一部は東京駅にまで達した。こうなると火の勢いが弱まってくることが邦俊たちにも分かってきた。
「リリ大使、お一つどうぞ」
「おお、私はおにぎりと柿の種が大好きでしてね。日本では火事の時に食べるのですか?」
「日本では「炊き出し」と言って火事や災害の際におにぎりなどの食料を提供する風習があります」
「火事の場合は被災者と消火にあたった人々が食べることができます」
「それにしてもよく助かりましたね。これがパリだったら天国行きだ・・・」
「一時はもうだめかと思ったけどね・・・」
「東京駅と運命を共にするなら尾崎先生やじいさんも文句は言わんだろうと覚悟はできていたが・・・。お互い悪運が強すぎますな」
「邦俊、まだそう考えるのは早いんじゃないか?まだ仕事が残っているぞ」
「そうですね、まだ火が消えたわけではないし・・・」
「あほう!おまえのじいさんの最後にして最優秀の弟子を救出しないことにはじいさんが納得せんぞ!」
「そうでしたな・・・」
しかし中央郵便局の裏手から先は火が回っていて容易に先へと進むことはできなかった。
「うっかり有楽町へ近寄れないな・・・」
普段なら歩いても15分でいける距離だが、火の勢いは強かった。
その時だった、いきなり大きな爆発音が響き、爆風が邦俊たちを襲った。
「こんな人の集まるところに爆弾なんかないだろうね?」
「不発弾でも埋まっていたのか?」
その時伝令が走ってきた。
「申し上げます!ただいま中央郵便局の南側にあります三菱東京UFJ銀行本店の地下石油倉庫が爆発しました!」
「なんで銀行にそんな危険物があるんだ?」
リリ大使は驚いたが、邦俊や守道は納得していた。
「三菱ならね・・・」
「三菱だったらありえる・・・」
「なぜ皆さん納得しているのですか?」
「それは三菱だからですよ」
「ミツビシ?何ですかそれは?」
邦俊は紙に三菱のマークを書いてリリ大使に見せた。