デジキャラット・シンフォニー 3
「久弥さんが亡くなった後、私は杉本さんにお世話になっていました。しかし昨夜私が眠りにつくころ声がしたのです」
真紅はかつてのマスター、久弥の声に誘われて外にでた、姿は見せなかったが、久弥はでじこを自分の代わりに世の中を救う政治家になるから成長を助けてやって欲しいと言われて来たのだと言う。
「するとでじこにおまえのしもべになれとでもいうのかにょ?」
「相手が普通の人間ならそうなのですが、道明さんと久弥さんはしもべにするには頭が良すぎました」
「まあ、あんなに頭のいい人たちの上司なら相当苦労するにょ」
「そこで私はしもべというよりはマスターと呼んでその知識を頂くことにしました。そのうちマスターに尊敬の念が生まれて・・・でもマスターに気に入られていたでじこさん、貴方は私にとっては憎い存在でした。なぜマスターは貴方に目をかけていたか、貴方がいなくなればマスターの目は私に向くはず・・・。なのに、なぜ貴方に!貴方さえいなければ久弥さんが死ぬこともなかった・・・そうでしょう!」
「泥沼ドラマみたいなこと言うなにょ」
「でも久弥さんは言っていました。でじこちゃんを必ず政治家にしなければいけない。みんなが楽しく暮らせるように。そしてこの日本を守るために・・・。それがたった10歳の女の子だったなんて・・・。でもいいんです。貴方に会ってよかった。マスターが貴方を政治家にしたかったわけが分かりました」
そこへぴよこが飛び込んできた。
「でじこおねえちゃん、おとなしく人形を渡すぴょ!」
「うるさいのがきたにょ」
そこへぴよこの師で久弥の親友だった宮内庁の杉本正弘侍従長が飛び込んできた。
「なんと、ここにいたのか・・・」
「はい」
「置手紙があったからもしやと思ったが・・・」
「はい、マスターの言葉でした。でじこさんのもとへ行き、政治家にしろと・・・」
杉本侍従長はでじこに向けてつぶやいた。
「でじこちゃん、真紅を大切にしてあげてくれ、久弥さんの形見だ」
「人形を置いていくのかぴょ?」
「あの子は自分でマスターを選んだのだ」
そういうと杉本侍従長とぴよこは出て行った。
「でじこさん、これからは久弥さんに代わって貴方が私の第三代マスターです」
でじこはふとわれに返って時計を見た。
「あ、もう時間にょ」
でじこは大急ぎで支度してゲーマーズの店に下りた。
「おはよう、でじこ、ってその人形何よ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁