デジキャラット・シンフォニー 3
「ローゼンメイデン第5ドール、真紅」
「何でも久弥さんの人形だったらしいにょ。でじこにとりついたにょ」
「取り付いたのではありません、貴方を立派な政治家にするために来たのです」
「でじこは女優になるんだにょ」
「まあ、でじこにはちょうどいいわ」
店に入ってまずでじこがやることがある。それはゲーマーズの2階の片隅にある平田先生と久弥さん、それにでじこの先生で美香の親友だったうさだあかりの3人を祭る祭壇を掃除することだった。
「それはマスターとあかりさんですね」
「そうだにょ。3人はアキハバラでは神様にょ」
すると真紅は空を飛び、紅茶を入れて戻ってきた。でじこはそれを真紅から取り上げて一気に飲み干してしまった。
「苦いにょ」
すると真紅はもう一度紅茶を入れて戻ってきて、3人の写真の前に置いた。
「道明さんはダージリンファーストフラッシュ、久弥さんはセカンドフラッシュがお気に入りだった、あかりさんはとりあえず美香さんのアールグレイを入れましたわ」
「そういえば久弥さんは紅茶が好きだったにょ」
「マスター・・・」
そういうと、真紅は久弥の写真の前で涙を浮かべた。
「この女、性格は悪いけどよほど久弥さんのことが好きだったんだにょ」
久弥に尊敬の念を抱いているのはでじこも同じであった。
その有様を見ていたうさだが言った。
「じゃあ、これからここはあなたの担当ね。よろしく」
「うさだ、ここはでじこが一番大切にしている場所だにょ」
「私のことはかまいませんわ」
だが、真紅が久弥の写真の前に座ったため、久弥に頭を下げようとすると真紅の前でおじぎする事になる。それがでじこにはつらかった。
「まるででじこが真紅のしもべだにょ、でじこはおまえに頭下げてるわけじゃないにょ」
しかしでじこは真紅に手出しをしなかった。それをやるなら平田先生の天罰が下ると信じていたからだった。
「人形とはいえ平田先生と久弥さんの人形だからただ者ではないにょ」
1週間もすると真紅はでじこの身の回りの面倒を見るようになった。
「おはよう、でじこさん」
「ねむいにょ〜」
「さっさと起きなさい、もう朝です」
「いくら久弥さんのお人形といっても何様のつもりだにょ!」
「私に目からビームを撃ったらどうなるか分かってますね!」
真紅はさっさとでじこを起こして店に向かわせた。
「でじこ、おはよう。早いじゃない」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁