デジキャラット・シンフォニー 4
海老名でいきなり列車が止まった。信号が赤になっていて変わらないのである。
原因は故障ではなかった。海老名駅長がわざと信号を赤にしていたのだ。すぐさま駅長は列車内に乗り込んできた。
「申し上げます!三菱重工相模原で暴動が起こっております!」
「なんですとにょ!」
「都内各地で暴動が起こっており、このまま列車を進めるのは危険かと・・・」
「どこまでなら大丈夫なんですの?まさかこの先で線路が寸断されているとか?」
「なにぶんにも連絡用の回線が切られているもので何とも言えませんが・・・。とにかく新宿駅や地下鉄の駅に連絡しても通じないのは確かです」
「相武台前や座間で線路が切れていると言うことはありませんわね?」
「その辺は大丈夫かと思われます。三菱重工相模原からはだいぶ離れておりますから・・・」
「それなら町田まで動かせませんの?」
「多分そのあたりが限度かと・・・」
「町田まででも動かせればいいんですの。父上の言うとおり名古屋から東京まで線路がつながっていることが証明されますから。それに町田ならいくら暴動が起きたとしても必ず説得できますから危険なことはございませんわ」
「Mintさんでしたっけ、あなたのお父上といいますのは?」
「私の本名は平田文子、平田久弥の娘ですわ」
「えっ?あの元都知事・・・。するとおじいさんは平田道明東大教授・・・」
驚いた駅長はすぐに列車を発車させた。同時にいろんな駅に電話をかけまくった。
「こんな時に列車を動かしたのか?危険ではないか?」
「ですが、相手が相手ですから・・・」
「相手?売り出し中のアイドルだろう?」
「それが並のアイドルとは訳が違います。なにしろ平田元都知事の娘だそうで」
「なにっ?あの?」
驚いた各駅では一斉に動きがあわただしくなった。
列車は50キロに速度を落としたが、進み続けていた。
「Mintさ〜ん」
座間駅ではミルフィーユ秘書が待っていた。
「あら、どうしたのですか?」
「Mintさんが来るということで、すでに町田駅では歓迎の準備が進んでいるんです」
暴動は起きたが、小田急線からかなりはなれたところであった。町田には重い雰囲気ではあったが暴動の危険からは免れており、町田駅で警察が警備に当たっている他は特にこれといって混乱はおきていなかった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁