デジキャラット・シンフォニー 4
座間市はミルフィーユ秘書のふるさとである。だがさすがは強運のミルフィーユ、平田一族は座間市に入ると道明や久弥をはじめことごとく危ない目にあって帰ってきたからだ。
Mintたちはあわてて列車を出した。
15分ほどして列車は相模大野駅を通過した。
「いよいよ町田ですわ・・・」
境川を渡り町田駅に到着するとひときわ大きな歓声に包まれた。確かに暴動は起きたが、手荒い歓迎だった。
Mintはでじこたちを連れて町田駅前に出た。町田駅前の歩道橋はかつて久弥がでじこを連れて演説を行った場所である。
「今になってお父様のおっしゃられたことが分かる気がします・・・」
「おまえ今頃久弥さんの偉大さに気付いたのかにょ?」
「お父様が都議会議員になる前、私はお父様に言いました。選挙に出て負けたら生活どうするのと。するとお父様はこう言ったのです。
『私は歴史家だから2年3年先や自分の将来など見ることなどとてもできない。100年以上先の日本全部を見ているのだからな』
お父様の目にはそんな先の未来しか見えていないのかと不思議に思いましたわ。100年先なんてお父様はもちろん私もこの世にいません。でもお父様は勝ちました。お父様の目には本当に未来が見えていたのですわ」
しかし、そんなMintの元に一報が届く。
「申し上げます!平田図書館が焼き討ちにあいました!」
「ええっ?」
平田図書館とは町田市にあった生前の道明・久弥親子の邸宅を久弥が亡くなった後に残った蔵書約6000冊をもとに司書資格を持つミルフィーユ秘書を図書館館長兼司書として開館した小さな図書館である。Mintにとっては生家でもあった。
あわててMintたちが平田図書館へ行ってみると、建物は全焼していた。幸か不幸か蔵書のほとんどは地下の閉架式書庫に収められていたため焼いたのは三十冊程度にとどまった。しかし、Mintが大事に保管していたステージ衣装やぬいぐるみなどは全て失われてしまった。
Mintは泣きながらその場を立ち去り、近くの歩道橋の上へ走った。
するとぷちこも歩道橋の下へと歩いた。
Mintはしばらく泣いた後、歩道橋の上から身を乗り出して飛び降りた。
「めからびーむ」
すかさずぷちこがめからびーむを発射し、Mintはその上に落ちた。
大騒ぎするMintにぷちこは手を差し伸べた。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁