デジキャラット・シンフォニー 4
「はなしてください、お父様のお屋敷や衣装がみんな燃えてしまった今となっては私の生きている意味がありませんわ!」
「それでお前のおやじが許すとでも思っているのかにゅ」
「その通りだにょ」
「でじこさん・・・」
「ここでMintさんがあの世に行ったとして、久弥さんが喜んで迎えてくれると思うかにょ!」
「久弥さんは親子の縁を切ると言い出すにゅ」
「なんですって?」
「久弥さんは自分のやりたい仕事がたくさんあったのにそれをやらないで死んでいったんだにょ。さぞかしもっと生きたかったんだにょ。久弥さんは死ぬ直前に言っていたにょ
『君たち、どんなことをしてでも生き延びろよ』
でじこたちは久弥さんの最後の弟子として生き延びて陽明学の世の中を作る義務があるんだにょ。生きていれば必ず最後にいいことあるにょ」
「悪い奴らは上本町の南十字星の光を浴びて滅びるにゅ」
「その通りだ、伯父上も言っていたではないか、「死んで花実が咲くものか」と」
「邦俊さん!」
「ここまで見事に焼けてしまうとはな・・・」
「邦俊さんはどうする気?」
「なに、ホテルの支配人が当分宿を提供してくれるってさ」
「それにしてもなぜ平田図書館が?」
「生前、じいさんのメインバンクは旧三菱銀行だった。じいさんが幼少時に下関にいたのだが、下関は重工の造船所がある関係で三菱銀行の力が強かった。それがそのまま町田の平田家につながっていったのだ。その関係で邸宅の位置が三菱銀行の支店に近いところにおかれたのだ。それが今回あだになった。重工側に敵対しているのは三菱東京UFJ銀行だからな」
「平田先生に恩を受けておきながらひどい奴らだにょ」
翌日、Mintはみずほ銀行町田支店の貸金庫にでじこたちを連れて行った。
Mintが貸金庫の中から取り出したのは、証券会社の口座明細だった。
「これはお父様が生前さまざまな方法で運用した資金、時価総額で11億4千万円ほどございますわ」
その金額を聞いたとたんでじこはひっくりかえってしまった。さらにMintはそれをでじこに渡すのだった。
「でじこさん、これはあなたに差し上げます」
これに血相を変えたのはうさだだった。
「こ、こんなやつに11億4千万もあげるですって?Mintさん何考えてんのよ!」
「これはもともとお父様が不本意な手段でもうけたものですわ。ないほうがせいせいしますわ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁