デジキャラット・シンフォニー 4
みけと意気投合した邦俊は、みけにシイラを釣ってこいと言いくるめて三菱重工に船を作らせた。
いよいよその進水式となり、邦俊とミルフィーユ秘書が見守る中、みけが乗り込んだ。
「久弥さん、シイラいっぱい釣ってくるみゃ!」
「うむ、生きのいいのを期待してるぞ」
そうして船が進水しようとしたときだった。数人の重工社員が邦俊とミルフィーユ秘書の周りを取り囲み、二人をす巻きにして船へとほおりこんだ。
「これはいったいどういうことです?」
すると一枚の紙がす巻きにされた邦俊の上に落ちた。それは邦俊をシンガポール事務所に左遷する辞令だった。
「追放か・・・」
みけは船を漕ぎ出すことに夢中だったため、それに気付いたのは船が沖へ出てからだった。
あわててみけは二人のひもをほどいたが、すでに船が沖合いへ出た後だった。
「申し訳なかったみゃ」
「いいんだ、これも運命だろう・・・」
「すぐ引き返すみゃ」
「いや、このままシンガポールに行こう。シンガポールは世界最大の漁港だ、魚市場もあって活気にあふれている。みけちゃんの修行にはいい場所だよ」
そういうと邦俊は自ら海図を持ちシンガポールへ向かった。
重工と銀行は激しく対立していたが、資金がなければ事業ができないので結局は重工が折れて銀行と和解することになった。そうなると重工にとって邦俊の存在が邪魔になるため谷口社長は邦俊をシンガポールへ左遷したのだ。
邦俊はシンガポールで机を与えられても何もすることがなかったので、会社に出社しなくなり、早朝にみけを送り出した後、毎日ノートを持って町を歩き回っては夕方に魚市場にみけを迎えにいくといった生活だった。ミルフィーユ秘書もお気楽に生活していた。
このいきさつをきいたでじこたちは激怒した。
「どいつもこいつもうそつきばかりにょ!」
この時、Mintは全国ツアーに出ており、美香はアメリカ公演、今村禅師はいつものように全国行脚に出かけており、平田邸にはでじことぷちことゲマしかいなかった。
「でじこ!どこ行くゲマ!」
「決まっているにょ!三菱重工に天罰下しに行くにょ!」
「やめるゲマ!誰か帰ってくるまで待つゲマ!」
ぷちこはそんな騒ぎをよそに一人地下室へ向かった。
平田邸の地下室には、厚いコンクリートの扉に閉ざされた部屋があった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁