デジキャラット・シンフォニー 4
大統領になった杉浦社長は次の政策を打ち出した。
・税金は売上高に応じてかける「外形標準課税方式」を導入して赤字企業や大企業にも容赦なく税金をかける。また資本金5億円以上の企業には税金と同額の政治献金も義務付ける
・資本金1億円以下の企業に対しては税額を半分にすると共に補助金を増やす。また公的資金を活用した保護策を適用する
・企業に積極的に雇用を増やすよう義務付ける。企業には従業員の数を基本にして税金の額を減額する
・雇用の拡大につなげるよう、県内では面接による選考を原則として廃止する。また、年齢や学歴、経歴や人柄を採用の基準としてはならないことと不採用の場合は本人及び愛知政府への報告を義務付け、違反者は1億円以下の罰金
・選考方法は書類選考とくじ引きによる抽選を原則として就労機会を平等にする
・製造業の生産拠点の県外移管は原則として禁止する
しかし、愛知共和国では中部国際空港と港湾施設を除いて日本から入国する場合は原則としてパスポート・コントロールを行わないこととした。これは織田信長が関所を廃止して国内の交通を円滑にしたことに由来していた。商工業や経済にも重点が置かれた。杉浦大統領は商工業組合を廃止し取引所を拡充して誰でも自由に商業が営めるようにした。「楽市楽座」と呼ばれたこの政策で税収を増やす目的であったのである。しかしこの政策で経済は大いに潤うことになった。
13.シンガポールにて
一方、下関では尾崎守道と今村禅師がこの知らせに驚いた。
「いよいよ世の中をかえなければならないか」
「今村禅師、何を考えているのですか?」
今村禅師は無言のまま尾崎邸を出た。
やがて今村禅師は岩国の米軍基地にたどりついた。
「何者だ!」
「司令官に会わせろ!」
今村禅師は鉄丈で門を叩き壊し、さらに立ち入って基地内で大暴れをして100人以上の大男たちを相手にけんかを繰り広げた。
今村禅師が大暴れした一件は各方面に衝撃を与えた。
岩国の海兵隊が大暴れして下関の赤間神宮を襲ってその一部を焼いた。さらに海兵隊は今村探しを名目に唐戸の町を襲い、南風泊にまで迫った。
やがて市場内に海兵隊が乱入すると、守道は一瞬頭の中を考えがよぎった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁