デジキャラット・シンフォニー 4
しかし、三菱グループでも一枚岩ではなかったようだ。三菱重工の考え方に賛成したのは三菱マテリアル、ニコン、日本郵船、キリンビール、三菱化学、旭硝子などで
三菱東京UFJ銀行は筆頭株主がトヨタグループであることから小杉政権の後ろ盾に加わり、三菱重工と対立した。このグループには三菱商事、三菱自動車、三菱地所、東京海上、新日本石油が加わった。
人々はこれを三菱のお家騒動と呼んだ。しかし実際は三菱どころか日本中のあらゆる大企業が重工側と銀行側に分かれたのだ。
銀行側にはトヨタグループやフジテレビ、読売、京王、西武鉄道などが加わった。
特筆すべきは小田急電鉄が真っ先に三菱重工支持を表明した。鉄道会社の中では最も旧三菱銀行に近い小田急が銀行を見捨てて重工に味方したのだ。これに京浜急行、相模鉄道、京阪電鉄、阪神電鉄、住友系の会社などが参加した。
上本町のお膝元、近鉄は名鉄と共に中立を宣言した。
「人を大切にするグループと金を大切にするグループに分かれたにゅ」
「また大騒ぎが起こるじゃない」
「邦俊さん、大丈夫かにょ?」
だがMintは落ち着くようにいった。
「まだ騒ぎが始まった訳じゃありませんわ。邦俊さんが三菱重工にいる限り、上本町におじい様の南十字星が見える限り、望みはあります!」
Mintが言う南十字星とは大阪の上本町の空に見えるという伝説の南十字星だった。
その頃、上本町では本当に暴動が起こっていた。
三菱重工グループ(重工派)と三菱東京UFJ銀行(銀行派)との社員の争いから小競り合いになった。
上本町は関東以外では三菱東京UFJ銀行の旧2行の支店がそろう珍しい街だった。
交通の要所だったため集まる人も多かったが、些細なことから暴動になってしまい、多数の負傷者がでた
3.上本町の悲劇
邦俊はでじこたちに三菱重工について話をしていた。
三菱重工は船は「戦艦武蔵」、飛行機は「ゼロ戦」、機関車は「D51」が代表作だが、関門トンネルの掘削シールド、原子力発電所の建設などもやっていた。
邦俊は伯父、久弥が道明の功績を語り継ぐために結成した「ラプソドス団」の団長でもある。語り口はでじこたちを飽きさせることはなかった。
その夜、でじこたちは上本町で大規模なデモがおこったことを知らされた。
先日の暴動では警察が銀行派だけ優先的に助けたため重工派の社員たちに被害が拡大してしまった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁