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デジキャラット・シンフォニー 4

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「おい、いつも市場に来ている女の子はミスター・平田の助手だったんだってさ」
「しかもミスター平田自身も魚市場に来ていたとはね・・・」
世界的な歴史学者だった平田道明と日本の有力政治家だった平田久弥の名はシンガポールにも届いていたのだ。
たちまち取材が殺到した。だが邦俊は自分はミルフィーユ秘書とみけの3人でシンガポールに来たから帰るときも3人で帰る。航海中の食料だけ用意してくれればそれでいいといって3人で再び船に乗り込んだ。
「私の祖父、平田道明は学問を究めた、伯父・久弥は都知事まで上り詰めた。しかし二人とも金は稼いだがぜいたくな生活をすることはなかった。道明の孫の私とてその考えに変わりはない」

だが時代は邦俊の船が到着するのを待ってはくれなかった。
米軍基地に対する暴動は激しくなるばかりで、ついに米軍は日本人デモ隊に対して発砲を始めた。
ホーチミン市でこれを聞いた邦俊はあ然とした。
「バカなことするもんだ。こんな時に殉教者を出せば火に油を注ぐだけだと言うのが分からんのかなあ・・・。少なくとも話し合いや規模の縮小は考えるべきだった。警察や軍隊は国民の信頼を基本にしてこそ成り立つ組織だと言うことを忘れてはいかん。駐留軍は派遣先の人々の信頼と人気が必要だ。派遣先の国民から搾取するならその時点で侵略軍となり攻撃されても文句はいえん」
邦俊はやや絶望した表情で船を降りて町へ出た。すると、見覚えがある顔があった。
「杉本、杉本じゃないか!」
「あっ、平田の・・・邦俊!なんでここに!」
邦俊が声をかけたのは杉本侍従長の長男でラプソドス団副団長の杉本正也だった。
正也も邦俊に劣らず語り口がうまく、アジア各地を回りながら紙芝居を上演していた。
「そうか、それでベトナムへ来たのか。確かに日本もひどくなったもんだ。親父殿は今頃はらわたが煮えくり返っているだろうよ」
「そうだとも、幸いにして船がある。正也、日本へ帰ろう!」
正也は小さくうなずいたが、不安そうな顔をのぞかせた。
「邦俊、お前の気持ちは分かるが、俺とお前と女の子が2人だけで日本に戻ってどうする気だ?まさか親父殿に頼んで陛下から命令を出してもらう気じゃないだろうな? もしそれを考えているなら俺はここに残る。今の日本が陛下の命令だけで治まるか!」