デジキャラット・シンフォニー 4
「でじこさん、私が渡したお金はそうむやみに使うものではありませんわ!」
「大丈夫だにょ、23億円もあるんだにょ」
この言葉にMintは驚いた。
「なんですって?私が渡したのは11億4千万円のはずですわ!」
「どう使うかでじこも困っているんだにょ」
次の日、でじこの言葉に耳を疑ったMintはでじこに残高を見せてもらった。するとMintがでじこに渡したはずのファンドはなんと残高が25億円近くにまで達していた。
「どういうことですの?」
「でじこの財務担当がやってくれたにょ」
「いつの間に・・・」
すると一人の女性が入ってきた。タイトスカートにスーツで身を包みいかにもキャリア風のできる女性風の人だった。
「でじこさん、お待たせしました」
「どれだけ増やしてくれるにょ?」
「はい・・・」
その瞬間、Mintとその女性は一瞬戦慄した空気に包まれた。
「文子、文子じゃない・・・」
「あなただったのですか・・・」
「文子、久しぶりね、お母さんよ」
この言葉にでじこたちは絶句した。
女性の名前は長江由美子、投資ファンド「エンジェル・ウィング」の代表で、でじこの資産を管理していた。
「あなたをお母様と呼ぶ義理はありませんわ!今頃になってのこのこ現れて図々しいですわ」
「そんな冷たい言葉言わなくてもいいじゃない」
「由美子さんはMintさんの母親だったのかにょ?」
「そうよ、こんなにかわいく育ってうれしいわ」
「なれなれしくしないでくださいまし!」
「Mintさん、由美子さんをきらうのは訳があるのかにょ?」
「ええ、確かにあの人は私を産んだ人ですわ・・・」
由美子はかつて久弥の愛人だった。だが仕事に強い興味を示す由美子との結婚を東大教授だった道明が許すはずもなく、また政治家を目指していた久弥には邪魔でしかなかった。由美子のほうもキャリアを目指していたことから家庭は邪魔な存在にしか思えず二人は入籍しないで暮らすようになる。もっともアパートの一室で互いに声をかけることもなく存在すら気にかけない有様だった。
由美子はMintを産んだものの育児には興味を示さず仕事ばかりに熱中して家には帰ってこない日々が続いたため、久弥はMintを認知し育児を始めた。そのためMintは平田の姓を名乗って生きてきたのだ。これではMintが由美子を許せるはずがない。
「でじこの大好きな泥沼ドラマにゅ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁