デジキャラット・シンフォニー 4
「面白いですにょ、同人誌のネタになりそうですにょ」
「やめてください!」
「久弥さんとキャリアお姉さま、平田一族には頭は空っぽだが美人が多いにょ〜特に由美子さんは飛び切りの美人だったにょ〜」
「だ〜れ?その由美子さんって、あかりとどっちが美人なの?」
「そりゃ由美子さんに決まっているにょ!ん、にょにょ?!」
後ろを振り向いたでじこは驚いた。
「美香さんにょ!」
「もう一人の美人が現れたにゅ」
「まさかあの女が現れたとはね・・・」
「美香さんも恨みがあるのかにょ?」
「ええ、あかりと宝塚で苦労していた時、伯父上(道明)が私たちを助けようと仕送りを送ろうとしていた時にお金を送ることに反対したの。自分で生活できなきゃ生きていく資格無いって」
「めちゃくちゃな女だにゅ」
美香が東京に戻ってきたのは新規開店する「キャトルレーヴ・アキハバラ店」の開店記念イベントのためだった。
「キャトルレーヴ」とは宝塚歌劇団公式ショップで東京には日比谷と有楽町にあったが、なぜか今度アキハバラにできることになった。それは一時アキハバラに巻き起こった宝塚ブームの成功に加え、美香が大衆層へのファン獲得に積極的だったことだった。これはあくまでも庶民の歴史を追及してきた伯父・道明の願いでもあった。事実、宝塚歌劇団はその創設者・小林一三の精神により庶民の娯楽として出発した劇団であった。当初は日本昔話などを上演していた。現在のように洋風で高級なオペラを上演するようになったのは昭和に入ってからのことである。セレブで華やかなイメージとはおよそかけ離れた劇団だったのである。劇団の経営が苦しくなったのは人気をいいことにあぐらをかいて上流階級ばかりを相手にしてきたことが原因だった。しかし上流階級相手ではその数が知れており人気拡大にはつながらない。小林一三や平田道明が庶民の娯楽を目指したのは庶民の数が上流階級より圧倒的に多いからだった。
でじこは美香の衣装を見るなり驚いた。
「美香さん、でじこと同じメイド服だにょ」
「今度の舞台の主役なのよ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁