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デジキャラット・シンフォニー 4

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でじこがMintに連れて行かれたのは小さな公園だった。
「ここでビデオの撮影ですわよ」
でじこは愕然とした。
「いいですか、でじこさん。おじいさまだって最初から歴史学者だったわけではありませんわ。小さなことから一歩ずつ努力して積み重ねた結果が東大教授・平田道明なのですわ。お父様は「でじこちゃんは他力本願というのが嫌いな子でね、自分で実行したり努力しているところを見せないと納得しないよ」と言っていました。いきなり銀幕の大女優など誰にもなることはできませんわ」
「そうだにょ、で、何と言う物語にょ」
台本は昨夜Mintが急いで書き下ろしたものである。「平田道明の南十字星」と「平田久弥の星のお話」の2本だった。いずれも20分ほどの物語だった。
「ところでこれは映画館で上映するには短すぎるにょ。テレビでやるのかにょ?」
「いいえ、プラネタリウムで上映します」
以前放火で全焼した平田図書館は再建が進んでいたが、その一角にあった映写室を新たにプラネタリウムにしたのだった。数年前まで渋谷にあった「五島プラネタリウム」の機材をプラネタリウム再開を夢見て保存していたグループがあった。
「五島プラネタリウム」は都内屈指の人気を誇るプラネタリウムで閉館の報を聞いて道明が何とかして残せないかと訴えたほどである。子供たちの学習と夢を紡ぐ場所を大人の都合で奪ってはならない。東大教授という教育者の職にあった道明の言葉である。常連客たちはこの夢を紡ぐためにプラネタリウムの機材を保存管理するグループを結成した。後に久弥が都知事になった際に立川の昭和記念公園に隣接した土地に機材を据え付けてプラネタリウムを再建しようとしたが、久弥の死でそれも頓挫してしまった。「五島プラネタリウム」が渋谷にあった関係で常連客の多くが東京南部と神奈川に集中していて立川には行きにくいためグループが計画に積極的でなかったことも災いした。
そこでMintがこのグループを説得して機材を町田に運んでプラネタリウムを完成させた。町田なら「五島プラネタリウム」の常連客の多くが難なく来られるという利点があり、なにより平田親子の地元であるということでグループは一転協力姿勢に転じた。
そのこけらおとしとして上映する番組であった。