デジキャラット・シンフォニー 4
「そや、それもただの弟子とちゃう。平田久弥の都知事当選の際に選挙参謀としても腕を振るった手柄で久弥から平田流歴史学の後継者と定められた子や。あんたらがかかって勝てる相手とは違う。わしもよ、すぐまわし(用意)して空港に行くでよ、さっさと囲みを解いて子供らをラウンジに通してお茶でも出して待っとれいうとけ!」
その頃、セントレアの船着場に小さな船が着岸した。
「やっと着いたか・・・」
「ここはどこみゃ?」
「愛知県常滑市、セントレアだ」
「え?空港なんですか? でもここは船着場ですよ」
「三重県に向かうフェリーが発着するところだよ」
「とにかく本土に帰れたわけだな」
シンガポールを旅立った邦俊、正也、ミルフィーユ秘書、みけの4人はやっと日本に帰れたのだ。
4人は船着場から通路を抜けて中部国際空港駅のコンコースに来た。そして2階の到着ロビーに来たところで、機動隊とでじこが対峙する場面に遭遇したのである。
邦俊は機動隊の後ろから大声で叫んだ。
「でじこちゃん」
「君!何かね!民間人は後ろへ下がっていなさい」
でじこも「邦俊さんにょ!」とさけんだ。
「何?君はあの子の知り合いかね?」
「ええ、私は平田邦俊といいます。こちらはミルフィー・・・いえ、牧村雪絵といってあの長い髪の女の子の姉です」
「あっ、ちとせちゃんです〜」
「するとあの3人の親戚か」
「説得に当たってみます」
「空港長、どうしますか?」
「やらせてみろ」
「でじこちゃん、いったいどうしたというのだ?」
でじこは杉本侍従長から預かった手紙を見せた。
「なに、あんたは親父殿から頼まれたのか? 」
「親父殿?」
「これは私の親友の杉本正也」
「杉本さんの息子さんですかにょ」
邦俊は手紙を持って空港長に突きつけた。
「空港長、これは杉浦大統領への親書です、この子供たちは正式な外交使節ですよ」
「まさか・・・」
「空港長、先ほど杉浦大統領に電話したところどうやらお知り合いだったらしくて血相変えてここへ向かうからラウンジで待たせとけと」
「すぐ囲みを解いてラウンジにご案内しろ」
でじこたちの囲みが解かれて機動隊が撤収した。
そのときだった。
いきなり空港全体が大地震に襲われた。
「な、なんだ?」
しかし揺れは短時間で収まった
「なんですか〜」
しかし邦俊は変だといった。
「ちょっと待て、これは地震の揺れとは違うぞ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁