デジキャラット・シンフォニー 4
18.浜松町の大逆転劇
1時間後、でじこたちの乗った飛行機は調布飛行場に着陸した。
飛行場にはMintと杉本侍従長が出迎えていた。
正也は父親の前で敬礼をした。
「お父上、恥ずかしながらただいま帰ってまいりました」
すると杉本侍従長は正也を抱きしめた。
「今になってなにを言っている。バカヤロウ、親に心配をかけてといいたいが今はそれどころではない」
「邦俊さんもご無事で」
「もう一歩で死ぬところでした」
「結局話し合いにならなかったにょ」
「いいんだ、相手が死んだ上に戦争では仕方がない」
だがその光景をうらやましく見ているものがいた。邦俊である。邦俊にはすでに父である和彦、祖父平田道明はこの世にいない。久弥の弟、和彦は江ノ島に近い湘南ホテルで板前をしていたが、原口に追われたでじこたちが和彦を頼ってきた時にでじこたちをヨットで逃がしたが自分は原口派に襲われて殺されてしまった。後にでじこたちが原口を倒した後に和彦の遺骨も道明や久弥と共に六甲山に埋葬された。
でじこたちは直ちに町田の平田邸へ向かった。
次の日、でじこたちは王様の宮殿に参内した。
「そうですか、そこまでやりましたか」
「陛下、もはや猶予はなりませんぞ。これ以上韓国軍の攻撃を放置しておけばわが国は滅び、民は多大なる苦しみを負うことになります」
「和解の筋は探ってみたのか?」
「それが・・・和解どころか陛下が退位し王制を廃止しなければ交渉には応じないと・・・」
「何たる傲慢!王政の存在そのものが日本にとって必要不可欠とじいさんも言っていた。それに文句を言うものは大地や水や空気のありがたさを知らぬと同じだと」
大地や水や空気は地球上のどこにでもあり誰でも利用できるが、どれ一つでも欠けたとしても人類はその生活を維持することはできない。日本においても王政そのものがなければ国そのものの存在もないのである。
その夜、でじこは久弥の形見のオルゴールを開けていた。オルゴールから流れる「ワルティング・マチルダ」を聞くとMintが泣き出した。
「お父様・・・。」
もちろんでじこにとってもこの歌は久弥さんとの思い出でもあった。
「Mintさん、ワライカワセミってどこにいるのかにょ?」
「ワライカワセミですって? オーストラリアにいますけど」
「つかまえてくるにょ」
「それは無理ですわ」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁