デジキャラット・シンフォニー 4
この言葉が流れた瞬間、韓国軍司令部は騒然となった。かつてピョンヤンの独裁者を倒した時に独裁者の宮殿を破壊して人民を救った人物としてでじこの名は韓国にも知られていた。ましてやでじこは道明と久弥が「平田歴史学」の後継者に指名した人物でもある。「平田歴史学」は韓国には都合が悪かった。
結局、総大将はでじこに決まった。
「すぐに攻撃をかけるにょ」
「あわてるな」
邦俊はまず現状調査からはじめた。各地から届く情報を分析した。空襲の被害から韓国軍の規模を予測していた邦俊がふと目に止めた記述があった。
それは各地に上陸した韓国軍に対する各地の市民の抵抗であった。各地で韓国軍への抵抗が起こっている記事が掲載されていた。中でも大阪鶴橋での抵抗運動はすさまじかった。在日コリアンたちが韓国軍相手に抵抗運動を繰り広げていたのだ。なぜなら彼らは日本において日本社会と日本人との共存共栄の理念の下にその生活と存在を許されており韓国軍のやり方はこれを根底から踏みにじるものだった。
邦俊はそれらの記録を丹念にメモに取って分類した。祖父・道明から伝わった歴史の極意とは「日々の現実を記録すること」「見聞を広げること」そして「決してあきらめないこと」だった。歴史を学ぶ意味は試験のためというのは本末転倒だ、この国の形を知るために歴史を学ぶのだ、道明はそう教えていた。
そのうち邦俊はある考えに至った。そこへでじこが入ってきた。
「邦俊さん、ワライカワセミの声が聞こえたにょ」
午後8時、ワライカワセミの声が放送される時間である。
「よし、相手に一泡吹かせるぞ!」
邦俊はそのまま姿を消した。
翌朝、10数機の飛行機が韓国上空を目指して飛んでいた。目指すは浦項の迎日岬である。
邦俊は浦項上空に着くと早速空爆を始めた。浦項は日本ではあまり知られていない町であるが、ここには製鉄所があった。鉄は産業の血液と呼ばれるところからここをたたけば軍需産業に影響が出ると確信したのである。
邦俊の読みは的中した。製鉄所は壊滅し兵器の生産がストップしたのである。
「なんとか一矢報いましたか・・・」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁