デジキャラット・シンフォニー 4
町田の平田邸のすぐそばには「旧白洲邸・武相荘」があった。ここは生前から道明とも親交深かった「当代一の目利き」白洲正子さんの邸宅跡である。ここででじこたちは白洲正子さんが日本各地から集めた一流のものを眺めながら茶室でお茶とお菓子を頂いていた。
そこへMintが現れた。
「でじこさん、出陣ですわよ」
でじこはMintを見るなり驚いた。Mintはゴジック・ロリータ服を着ていたが、一般的に見られる黒や白やピンク色ではなく青色のゴジック・ロリータ服だったからだ。
「これは生前お父様が私のために作ってくださった服ですわ」
Mintが小さい頃、都議会議員選挙に落選して浪人生活を送っていた久弥があるとき青色の生地を購入して自らミシンで青色のゴジック・ロリータ服を作ったのだった。しかし誰も着るものがいないと嘆く道明に久弥は「この子が大きくなったら着せます」といったという。青色を選んだのは久弥が好きな色だったことに加えて青色のゴジック・ロリータ服がないなら自分で作ってやるといった気構えだった。
しかしMintは背丈の成長が遅かったので久弥の存命中に服を着ることはなかった。
「昨夜お父様が夢に現れてこの服を着て戦えとおっしゃいました・・・」
「Mintさんは死ぬ気にゅ」
「本気かにょ?」
「ええ、一度は自殺を考えました。そうしたらでじこさんがお父様に勘当されると止めました。けど国を守るために命を捨てるならお父様も分かってくれますわ。大好きなお父様の元へまいりますわ」
「そう簡単にいくかにょ」
Mintはでじこの言葉に驚いた。
「でじこなら最後まで生き残って悪い奴らを退治するほうを選ぶにょ」
「久弥さんがMintさんでなくでじこを跡継ぎに選んだ理由が分かるにゅ」
A型のMintは融通が利かなくてすぐ自爆を選ぶが、O型のでじこは楽天的であくまで生き残りチャンスを待つほうを選ぶ、久弥が自らの跡継ぎにでじこを選んだ理由はまさにそれだった。
Mintはでじこたちを車に乗せた。
2時間ほどしてでじこたちは大きな搭のある建物に到着した。でじこたちもその建物には見覚えがある、東京ビックサイトだった。
でじこたちはMintの先導で階段を登った。そこにはすでに真紅たちや杉本侍従長も到着していた。
「これは・・・こんな時期にコミケですかにょ?」
「今さらコミケどころではないだろう」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁