デジキャラット・シンフォニー 4
「王様のご命令でここを臨時の王宮にして敵と戦うことにした」
Mintは驚いた。なぜなら久弥がビックサイトについて詳細に記してきたからだった。
「平田教授から歴史学を引き継いだ久弥はいずれこうなることは分かっていたのだろう。久弥はビックサイトを最後の防衛施設とする考えだったのだ」
まもなく砲弾の音が聞こえてきた。韓国軍は川崎まで迫ったのだ。
でじこはぷちことぴよことMintを誘うと表に出た。
「このままここにいても殺されるだけだにょ。でじこたちはあいつら退治しに行くにょ!」
でじこたちは東雲から豊洲方向に向かった。
この有様を4階の会議室に居た王様が見ていた。
「夢浮橋(杉本侍従長)あれを見なさい」
「あれは・・・まさか・・・」
「すぐ軍隊を差し向けなさい、澪標(でじこ)たちを死なせることはなりません」
「はっ!直ちに私自ら向かいます」
「頼みましたよ」
急いで杉本侍従長はドアを開けた。そこで王様が制止した。
「夢浮橋(杉本侍従長)!」
「何か?」
「お前も生きて帰ってきなさい。この戦、どちらに非がありますか?」
「ははっ!」
会議室には王様だけが残された。
でじこたちはわけも分からず飛び出したのですぐに力尽きた。そこへ杉本侍従長が兵士を乗せたカーゴで通りかかった。杉本侍従長はすぐにでじこたちを乗せると東京駅方面へ向かった。
一方、韓国軍はすでに品川に迫っていた。
東京では韓国軍を歓迎する勢力と反対する勢力が小競り合いとなりあちこちで混乱がおきた。大阪でさえ在日コリアンたちが韓国軍に対してレジスタンスを繰り広げていたのとは対照的だった。
しかしまだ多くの放送局が韓国軍に占領されていなかったため通常通り放送が続いていた。
邦俊はラジオのスイッチを入れた。
「おっ、Swing Out Sisterか」
文化放送からは生前の久弥が好んだSwing Out Sisterの「Better it Make Better」が流れてきた。よりよい未来を作ろうというその歌詞は久弥の考えと一致していたという。
しかしこれは文化放送にしてみれば救難信号でもあった。韓国軍が品川に迫ったとなるとまず真っ先に占領されるのが浜松町にある文化放送である。邦俊もそれは十分感じていたのかもしれない。
邦俊は浜松町に到着すると目の前に韓国軍が迫っていた。
「正也」
「なんだ?」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁