デジキャラット・シンフォニー 4
「お父上から届いたのだ。早速ご披露しよう」
「平田文子、その方著しい戦果を上げ、この手柄は平田久弥の娘として特筆すべき事項である。よってこの功績は宮内庁書陵部において記録に残し永く伝えることとし、後日行う論功行賞については手柄の第一とすることを約すものである。
しかるに平田文子はその手柄を追及するため余が任命した最高司令官ショコラ・デジキャラットの命を聞かず先に進んだことは許しがたし。本来ならば重く罰するところなれど数々の功績に免じて今回この件は不問に付す。しかしその条件として今後はショコラ・デジキャラットと共に行動すべし。独断で隊を離れ行動する行為及びショコラ・デジキャラットの命に基づかない行為及び勝手な行動は慎むこと。もしこれに反した時は余の命に反す「大逆罪」とし征伐軍から外してその任を解いた上で罪に問うこと疑いあるべからず」
Mintは静かに文章を読んでうなづいた。
部屋を出てでじこたちがどうだったと聞いた。
「まず大丈夫だ、今度無茶やったら「大逆罪」といえば文子もおとなしくなるだろう」
「それにしても陛下を説得するのは大変でした」
「大逆罪ってなんだにょ?」
「国王の命令に逆らう反逆の罪だ。これやったら死刑はおろか日本国内にもいられなくなる。じいさんや伯父上には縁を切られるだろうな」
20.神戸の戦い
3日後、でじこたちは上本町を出発した。南十字星の旗を掲げたでじこの部隊は簡単に阪神国道に入り、西宮から三宮を目指した。
でじこたちの右手には六甲山が見えた。平田親子が眠る山である。
夕方には三宮に入り、美香の歓迎を受けた。しかし邦俊には疑問点があった。
「今回の件は済州島で核実験を行ったことに端を発するものだが、果たして韓国にそんな資金があるのだろうか?独裁者の政権が核開発をやっていてそれを継承していたとしてもおかしい。あの当時は水害が発生していて人民が餓死寸前になっていたはずだ」
「インドでも核開発はやっているが飢える人はいる」
「正也、インドは紅茶やIT技術など売るものはたくさんあるが、日本と違い民族間の対立が激しく富の分配が進んでいない。韓国はタングステンはあるものの電球以外の仕様は事実上できないし使われるものはわずかだ。森林資源もないから韓国はステンレスの食器を使っている。技術はあるとしても資金はどこから来るのだ?」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁