デジキャラット・シンフォニー 4
しかし答えは見つからなかった。
翌日、邦俊は三宮の町へ出た。道端を歩いているとバスタオルにくるまった中年の女性が目に入った。
「おい、大丈夫か」
女性は邦俊の顔を見るなり悲鳴を上げた。
「恐れることはない。我らはでじこ隊長と共に韓国軍を討伐に来た」
しかし女性は失神した。邦俊はすぐに女性を介抱して病院へ運んだ。
女性の容態は栄養失調だった。しかし院長が女性が持っていたパスポートを邦俊たちに提示した瞬間、一同の顔色が変わった。
「長江由美子・・・」
「またあの女ですの?邦俊さん、ほっといて死なせればよかったんですわ!」
「それにしてはおかしい、由美子さんはファンドマネージャーでお金に困ることはないはずだが・・・」
「きっと運用に失敗して破産したんだにょ」
「久弥さんの天罰にゅ」
「そんなへまをやる人ではない。内縁とはいえ久弥さんの妻だったから」
「あの人をお父様の妻などと呼ばないでくださいませ!」
一同は由美子の病室へ入った。
「おきてくださいまし」
「うーん、何よ・・・ふ、文子?!」
「お目覚めのようですわね」
「地獄に落ちたのかと思ったわ、文子も来ていたなんてうれしい!」
「神戸に来てまで寝ぼけないでくださいませ!」
「神戸?」
由美子は周りを見渡した。すると役者がそろって自分の周りに集っている。
「由美子さん、あんたがなんで三宮の路上で倒れていたんだ。詳しい話を聞かせていただけますか?」
ファンドマネージャーとしても有能な由美子はある貿易会社の誘いで韓国に渡り政府の建て直しに尽力することになった。だがそこで由美子は白紙手形に絡む詐欺事件で巨額の負債の責任を負わされたのである。でじこから預かった資金を含む100億円を没収されて帰国したのだ。
「その貿易会社のパンフレットがここに」
その貿易会社は三宮駅の南側の国際会館にあると記されていた。
「すぐその会社に行くにょ!」
「待て、これはおそらく詐欺を目的にしたペーパーカンパニーだ」
「なに?」
「正也、この会社の社長の名前を見てみろ」
「あっ!」
社長の名は「原口秀彦」、かつてでじこたちが倒した原口恒雄の弟である。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁