デジキャラット・シンフォニー 4
その正体もなぞに包まれたいわゆる「ペテン師」、数々の巨額詐欺事件に関わりそのほとんどが闇に包まれていた。ただプライドが高いことは兄恒雄と共通していたが、恒雄より狭量で自分に逆らうものには容赦しない非情な性格から「平成の東條英機」とうたわれた。
「こいつを倒さなきゃ終わらないにょ」
その「平成の東條英機」こと原口秀彦は部下を率いて神戸へ向かっていた。
目的は平田歴史学のシンボルである六甲平田神社を破壊して平田歴史学を消滅させることである。むろん一度生まれた思想や学問は二度と消えることはないのだが。
「秀彦様、世間はあなたを「平成の東條英機」と呼んでいるそうですが」
「いいではないか、東條英機は自らを犠牲にして日本を守ったのだ。平田歴史学がある以上日本はアジアと和解できない。私が売国奴たちを倒す」
「一つ気がかりなのは平田歴史学の後継者、ショコラ・デジキャラットはまだ10歳の女の子とか」
「うむ、兄上も倒されてしまった。よほど気合入れてかからないといかんな」
この発言が神戸新聞に発表された時、でじこは激怒した。
「売国奴はどっちだにょ・・・。」
そのとき、太陽が厚い雲に隠れてしまった。
3日後、でじこが三宮にいると知った秀彦は魚崎と青木から兵隊を上陸させた。阪神間の交通を遮断してしまえば上本町からの補給をたたれると考えたのだ。
次いで秀彦は岡本から進む山手ルートと青木から進む海岸ルートの二手に分けて三宮へ進軍させた。
これを察知した邦俊は自らは王子公園から灘駅まで非常線を張ってこれを防ごうとした。だがその非常線も簡単に突破されてしまったのである。それから春日野道周辺で小競り合いが起こった後に大軍が三宮目指してなだれ込んできた。
「いよいよでじこさまの出番ですかにょ」
三宮の町に出たでじこたちは「目からビーム」をくりだした。
たちまち山手通や阪神国道は火の海となり、町は大混乱になった。
この中で目覚しい働きをしたのはMintである。青のゴズロリ服を身にまとい、父・久弥から伝授されたなぎなたを振るった。Mintに狙われて逃げられたものはいなかった。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁