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デジキャラット・シンフォニー 4

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「しかしそのいくさはすでに終わっております」
「そうか、わしには戦が起こる気がするが」
「起こるみゃ!金と人との戦があるみゃ!」
そこへ上本町での騒動の知らせが入った。
「これは、急いで大阪に行かねばならないな」
「そうじゃろう」

一方、Mintは大阪フェスティバルホールでコンサートの最中だった。
振り付けは美香が行い、衣装も次々変わった。大胆な大人の女性ファッションから最後にはシルクハットにタキシードまで着こなすMintにどきどきだった。
「久弥さんは地味だったのに・・・」
「アイドルは派手にょ」
でじこは女優になりたがったが、それは女優が支配者になれるとでじこ自身が勘違いしていたのである。道明・久弥親子に限らずでじこの才能を見抜いた人たちはでじこに政治家になることをすすめたのである。久弥の親友だった杉本侍従長もその一人だった。久弥はでじこに「水滸伝」「三国志」「史記」「封神演義」を教えたが、久弥亡き後はでじこが自分で続きを読んでいた。あるとき杉本侍従長がぴよこに源氏物語や枕草子を読み聞かせているとでじこも混ざりたいと言ってきた。そこで杉本侍従長はでじこには別に平家物語や太平記を読み聞かせた。さすがは杉本侍従長である、二人の性格を見抜いていた。ぴよこには上品で優雅な生活をさせ、道明の好んだ源氏物語を与えた。一方でじこには平和の尊さと世の無常を説いた。ことに太平記は久弥が好んだ物語である。しかし、でじこが一番好んだのは水滸伝であった。
「あの星の中には久弥さんもいるんだにょ・・・。久弥さん、お願いだにょ、でじこの元に108個の星を取ってきて欲しいにょ・・・。水滸伝の梁山泊がどこかにないのかにょ・・・。宋江はいないのかにょ・・・」
名古屋駅セントラルタワーズの前庭で星を眺めながらでじこはつぶやいた。
すると、でじこの目の前で老人の僧侶が若者相手に杖を振り回して暴れているではないか。
「魯智深にょ・・・。水滸伝の花和尚・魯智深にょ・・・」
僧侶は若者たちを一喝した後、杖を収めた。
「魯智深か・・・。そう呼ばれるのもひさしぶりじゃのう」
「ほかに誰かに呼ばれたことあったのかにょ?」
「うむ、わしを魯智深と呼ぶのは日本で一人だけじゃ。東大の平田教授の息子、平田久弥。わしが豹子頭林仲と呼んだその男だけじゃ」
「久弥さんが豹子頭林仲・・・」