デジキャラット・シンフォニー 4
「わしの名は今村光文と言う、ご覧の通りの貧乏坊主じゃ。ところでお前さんはなかなかよい目をしておるのう。かなりの高貴な身分の者と見たが」
そこへ邦俊さんが現れた。
「さすがは光文禅師、年老いてなおその眼力は確かなようですな。お察しの通りこの子は我が祖父・平田道明と伯父・久弥が死に臨んで自らの後継者と定めた平田歴史学正統後継者、ショコラ・デジキャラット殿にございます」
「すると、久弥は・・・」
「残念ながら一昨年なくなりました。最後には東京都知事にまで上り詰めましたが」
「そうか、久弥は頭は良かったが、あまりからだが丈夫な男ではなかったのう・・・」
光文はでじこの顔をよく見た。
「それにしてもいい目をしておる。これがうわさに聞いたでじこ総理か・・・」
「禅師、この子は行者武松くらいにはなりますかね?」
「いや、そんなものではとても収まるまい。この子には天魁星がついておる。呼保義の相じゃ、類まれなる人相じゃ」
「呼保義、それじゃ・・・」
「うむ、この子に名をつけるなら及時雨・宋江じゃな」
「宋江・・・」
5.侍従ぴよこ
そのころぴよこたちは王様の宮殿で働いていた。
前回騒ぎを起こした水銀燈は王様の侍従、ぴよこが杉本侍従長からもらった3本の扇で倒した。王様はその功に対しぴよこを侍従上席に昇格させて勲章を与え、さらに1000万円の御下賜金を与えたばかりか月給50万円も与えていたのである。
そればかりかぴよこに付き従った3人の医者、獣医のリクは王様の御料牧場の医者となり、歯科医のカイと内科医のクウは宮殿病院に勤務し、それぞれ月給30万円を王様から頂くことになった。単純合計では合計で月140万円も入ってきたが、彼らは自らのUFOを宮殿南庭に移してそこで暮らすことになった。おんぼろは相変わらずだったが、なにより代々ぜいたくを嫌った王様にはこれがまた気に入られることになった。
そんなある日のことである。クウが宮殿前庭を歩いていると草が生い茂っているのが目に付いた。クウは鎌を取り出し雑草を皆刈り取ってしまった。
その夜、クウはぴよこと共に王様に呼ばれた。雑草を刈り取ったからほめてもらえるものだと思っていた。
「内科医殿、どうして宮殿の草を刈り取ってしまったのだ!」
「え?雑草がたくさんあったから・・・」
「どんな草でも名を持ち意味を持っている、それを奪うことは許さん!」
作品名:デジキャラット・シンフォニー 4 作家名:細川智仁